国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和8年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
上原 惇朗
(上智大学 大学院理工学研究科 理工学専攻電気・電子工学領域)
会議名
The Applied Superconductivity Conference (ASC 2026)
期日
2026年9月6日~11日
開催地
米国,ペンシルベニア州,ピッツバーグ

1. 国際会議の概要

ASC (Applied Superconductivity Conference)は、超伝導分野における世界最大級の国際会議であり、2年ごとに米国で開催されている。
本年は米国ペンシルベニア州ピッツバーグのDavid L. Lawrence Convention Centerにて9月6日から11日までの6日間にわたって開催された。
米国や欧州をはじめとする世界各国の大学・研究機関や企業から多くの研究者が参加し、参加者は1,000名を超える国際学会となった。
本学会では、超伝導材料、超伝導エレクトロニクス、大規模応用の3分野を中心に、超伝導磁石、加速器用磁石、超電導量子コンピュータなど、幅広い分野の研究成果が発表された。1,500件を超える発表で各分野の最新の研究成果について活発な議論が行われた。

次回のASCは2028年7月23日から28日にカナダのケベックシティで開催予定である。

2. 研究テーマと討論内容

私の研究テーマは、「核融合実験装置JT-60SAにおける超電導コイルの位置ずれが、クエンチ検出電圧(QDV)」に与える影響の評価」である。

JT-60SAは、日本と欧州が共同で建設した世界最大級のトカマク型核融合実験装置であり、国際熱核融合実験炉ITERの支援・補完研究を通じて、将来の核融合発電の実現に貢献することを目的としている。装置には、プラズマを閉じ込める磁場を発生させるトロイダル磁場(TF)コイルや平衡磁場(EF)コイルが設置されている。超電導コイルに異常が生じた際は、QDVを用いてクエンチを検出し、電流を遮断する仕組みとなっている。しかし、2023年の試運転では、EFコイルへの通電時にクエンチが発生していないにもかかわらず、TFコイルのQDVが閾値を超え、実験の一時停止が生じた。これは装置の安定運転を妨げる要因となるため、原因の解明が求められている。

本発表では、『Effects of TF and EF Coil Misalignments on Quench Detection Voltage in JT-60SA』というテーマのもとポスター発表を行った。

超電導コイルの製作・設置時に生じる微小な位置ずれと、異常を検知する電気回路内の素子に着目し、それぞれがQDVに与える影響を解析した。その結果、コイルの位置ずれによって本来発生しないはずの電圧が生じることや、特定の方向への位置ずれが電圧の発生に大きく影響することを示した。また、実際の検出回路に用いられるローパスフィルタを考慮することで、実験で観測された電圧波形を概ね再現できた。一方、フィルタによって電圧波形は変化するものの、位置ずれに起因する発生電圧の最大値は低減できないことも確認した。

今回の発表では、QDVは一つの特定方向の位置ずれに影響されることから、コイルの位置ずれを考慮した解析の簡略化が可能なことや、位置ずれに起因する発生電圧を低減するために回路の調整が必要であることを示した。発表の際には実際の解析方法などの質問に加え、将来的にこの知見をどう生かすかなど活発に議論を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回の国際会議への参加は、私にとって初めての国際学会であり、世界各国の研究者と直接意見交換を行う貴重な機会となった。

ポスター発表では、多くの研究者から質問を受け、活発な議論を行うことができた。特に、自身の研究に対して異なる視点からの意見や質問をいただいたことで、新たな知見を得るとともに、今後の研究に向けた課題を認識することができた。

また、英語でのコミュニケーションに難しさを感じる場面もあったが、自身の研究を世界に向けて発信し、海外の研究者と議論することの楽しさや重要性を実感した。今回の経験を通じて得られた知見を今後の研究活動に活かすとともに、英語での発信力をさらに高め、国際的な研究交流に積極的に参加していきたい。

最後に、本国際会議への参加にあたり、多大なるご支援を賜りました丸文財団の皆様に心より感謝申し上げます。


発表中の様子

バンケットの様子

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