
IRMMW-THz(International Conference on Infrared, Millimeter, and Terahertz Waves)は、1974年に始まった赤外線・ミリ波・テラヘルツ波分野に特化した最大規模の国際会議である。本会議は米・欧・アジアを巡回開催し、参加者は1,000名を超える規模に成長している。対象分野はデバイス・計測から生物学・医療応用まで拡大している。
2026年度はアメリカ・ソルトレークシティーで開催され、35ヵ国から投稿件数321件のうち274件が採択された。内訳は口頭発表173件(63.1%)、ポスター発表101件(36.9%)である。私はこのうち口頭発表として参加した。
次回2027年度は福岡、次々回2028年度はイギリス・ウォリックで開催とのことである。
本講演では、全方位のビーム走査が可能なテラヘルツアンテナと、そのチャネルサウンディングへの応用に関する研究成果を報告した。これまでに開発したアンテナは任意の方位角へ高速にビームを向けられる一方、仰角方向に広いファンビームであるため、水平面内の伝搬路の評価には不向きであった。そこで本研究では、放物線の回転軸を焦点の内側に置いた新しい反射鏡を提案し、全方位でペンシルビームを形成する構成を実現した。講演では、ドイツ物理工学研究所での放射特性の測定結果に加え、ブラウンシュヴァイク工科大学のチャネルサウンダを用いた300 GHz帯の実験により、ビームを掃引しながら室内の主要な伝搬路を検出でき、従来N2回必要であった測定をN回に削減できることを示した。
12分の口頭発表に続く3分間の討論では、会場からの質問はなかった。講演後、共同研究者のブラウンシュヴァイク工科大学Thomas Kürner教授から、発表は悪くなかったが、本会議ではアンテナ・電波伝搬を専門とする参加者が少なかったため、質問が出なかったのは仕方がないかもしれないとのコメントをいただいた。


今回の学会には研究室から単身で参加したため、現地では積極的に交流を図った。他大学の博士課程学生である南氏やMiguel氏らと親しくなり、昼食や夕食を共にしながら研究や進路について意見を交わすことができた。また、学会の合間にはユタ大学のアメリカンフットボールやバスケットボールの試合を観戦し、現地の文化にも触れることができた。
研究面では、共同研究者のThomas教授から、執筆中の論文について1時間ほど直接レビューをいただき、大変参考になった。水曜日のバンケットではPTBのSophie氏やストニーブルック大学の博士学生らと夕食を共にし、議論を深めた。木曜日のIEEE TSTの査読者レセプションでは、同誌編集長のNuria教授とその博士課程学生をはじめ、永妻先生、桒島先生らに自ら話しかけ、国内外を問わず学術的なつながりを広げる良い機会となった。
このような貴重な機会を得るにあたり、多大なるご支援を賜りました一般財団法人丸文財団に心より御礼申し上げます。
