
The 17th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO-PR 2026) は、レーザーおよび光エレクトロニクス分野に関する国際会議であり、2026年8月2日から6日まで、中国・北京市の北京国際会議センターにおいて開催された。本会議は中国光学学会、北京大学および清華大学の共同主催により開催され、18の専門分野において、レーザー・光エレクトロニクスに関する約200の研究領域が扱われた。
CLEO-PRは、中国光学学会、Optica、IEEE Photonics Society、日本応用物理学会、韓国光学会などの国際学術団体によって1995年に発足した国際会議であり、レーザー、光デバイス、非線形光学、光通信、量子光学など、光科学・光工学の基礎研究から応用研究までを広く対象としている。会議期間中には、各国の研究者による最新の研究成果が発表され、関連分野について幅広い議論と研究交流が行われた。私は本会議において、フォトニック結晶リング共振器を用いたソリトンマイクロコムの理論解析に関する研究成果を発表した。
私は本会議において、「Semi-analytical soliton existence and spontaneous formation in photonic-crystal ring resonators」と題し、フォトニック結晶リング共振器(PhCR)におけるソリトンマイクロコムの存在条件と自発的ソリトン発生機構について発表した。
光周波数コムは、等間隔に並んだ周波数成分からなる光源であり、近年では微小なリング共振器を用いて生成するマイクロコムの研究が盛んに行われている。特に、安定で広い周波数帯域を持つソリトンコムと呼ばれる状態について関心が高まっているが、一般的なリング共振器では、カオス状態を経由することや熱不安定性の観点から、安定してソリトン状態を得ることが難しい。

本研究で対象としたPhCRは、共振器内壁に周期的な構造変調を設けることで、順方向(FW)および逆方向(BW)に伝搬する光が結合し、特定の共振モードを選択的に分裂させることができる。このモード分裂を利用することで、カオス状態を経由しない自発的ソリトン発生や、ポンプ光が共振周波数より高周波側に位置し、熱的に安定なBlue-detunedソリトンが実現できることが報告されている。
本研究では、FWおよびBW場の結合と時間発展を明示的に扱うCoupled Lugiato-Lefever方程式(Coupled-LLE)を用い、先行研究で報告されていた自発的ソリトン発生メカニズム、およびBlue-detunedソリトン状態の存在を理論的・数値的に解析した結果について報告した。
また、発表後の質疑では本研究における理論・数値解析の位置づけと、実験的検証との関係について説明した。
本国際会議に参加し、自身の研究に関連するマイクロリング共振器やマイクロコムに関する講演を中心に聴講した。関連分野の研究内容や最新の話題に触れることで、自身の研究分野においてどのような課題が扱われているのかを知ることができた。また、口頭発表や交流を通じて、自身の研究の位置づけや研究内容を分野外の研究者にわかりやすく伝える際に、幅広い知見を身につけておくことが重要であることを強く実感した。

また、会期中には北京大学のNew Yanyuan Campusを訪問し、クリーンルームおよび複数の研究室を見学した。研究室見学で特に印象に残っているのは、ボタン一つでマイクロコムが発生できるように、装置がパッケージ化されていた点である。この装置により実験の準備や調整にかかる時間が短縮され、マイクロコムを用いた応用研究を効率的に進められるようになったという説明を聞いた。この経験から、研究を効率化するための工夫も重要であると感じた。学会で関連研究の講演を聴講し、自身の研究を発表したことに加え、北京大学の研究施設を見学できたことで、研究発表と研究交流の両方を経験する機会となった。
最後に、本国際会議への参加を支援していただいた一般財団法人丸文財団に心より感謝申し上げる。
