
IWGO 2026(International Workshop on Gallium Oxide and Related Materials)は、酸化ガリウムおよび関連半導体材料に関する国際会議であり、本年はアメリカ・メリーランド州のカレッジパーク、メリーランド大学 Edward St. John Learning & Teaching Center にて開催された。
酸化ガリウムは次世代パワーデバイス材料として期待されており、近年、国内外で実用化に向けた研究が活発に進められている。本会議では、酸化ガリウムのバルク結晶成長技術をはじめ、材料物性、結晶欠陥、薄膜成長、デバイス応用、関連材料である二酸化ゲルマニウムなど、幅広い分野における最新の研究成果が報告された。アメリカをはじめ、世界各国の大学、研究機関、企業から多数の研究者が参加し、活発な研究発表および意見交換が行われた。
私は、酸化物気相成長(OVPE)法を用いたベータ型酸化ガリウムのエピタキシャル膜成長に関する研究成果について、「Homoepitaxial growth on (0-1-1) β-Ga2O3 substrates using oxide vapor phase epitaxy」のタイトルで口頭発表を行った。

OVPE法は気相成長法の一つであり、原料に由来する不純物の混入を抑え、高純度な薄膜を作製できる可能性を有する成長手法である。酸化ガリウムのうち、常温常圧で安定なベータ型はその特有の結晶構造により結晶面によって成長速度が異なるという特徴がある。そのため、成長させる結晶面によっては、薄膜表面に大きな筋状の凹凸(マクロステップ)が形成されるという課題がある。表面の凹凸は半導体デバイスの特性や信頼性に影響を及ぼす可能性があるため、平坦で高品質な表面を形成することが重要である。
本研究では、他の成長手法において平坦な表面が得られることが報告されている(0-1-1)面および(011)面の酸化ガリウム基板上に、OVPE法を用いて薄膜を成長させ、得られた薄膜の表面状態および結晶成長について評価した。その結果について報告を行った。
発表後の質疑応答では、作製した薄膜中の不純物濃度について質問を受けた。また、発表後には複数の研究者と、作製した薄膜表面に見られる欠陥の特徴や、その形成要因について議論する機会を得た。
また、酸化ガリウムの(011)面が最適な結晶面と考えているのか、という質問を受けた。どの結晶面が最も適しているのかについては、OVPE法に限らず、研究者の間で議論が続いている重要な課題であることを実感した。
自身の研究結果について異なる視点から質問や意見をいただいたことで、これまで十分に検討できていなかった点や、今後明らかにすべき課題について考える機会となった。

本会議への参加を通じて、酸化ガリウムおよび関連材料を研究する国内外の研究者と直接交流し、自身の研究内容について議論する機会を得た。特に、エピタキシャル成長を専門とする海外の研究者とも意見交換を行い、酸化ガリウムのエピタキシャル成長における課題について共通の認識を得るとともに、新たな視点を得ることができた。また、これらの議論を通じて、今後取り組むべき研究課題をより明確にすることができた。 酸化ガリウムは現在、実用化に向けた研究開発が進められている段階にある一方、材料の高品質化、低コスト化、大口径化、デバイスの応用先の拡大など、解決すべき課題が多く残されている。世界各国の研究者がこれらの課題をどのように捉え、それぞれの立場からどのようなアプローチによって解決を目指しているのかを知ることができ、今後の研究を進める上で有益な知見を得ることができた。
最後に、本助成による支援により、世界各国の研究者が集う国際会議に参加し、自身の研究成果を発表するとともに、海外の研究者と直接意見交換を行う貴重な機会を得ることができた。本会議を通じて得られた知見や国際的な研究交流の経験を今後の研究活動に活かし、さらなる研究の発展につなげていきたい。
このたびは、貴重なご支援を賜り、心より感謝申し上げます。
