The 42nd International Conference on Thermoelectrics(ICT 2026)は、2026年5月17日~21日の間に米国テキサス州ヒューストンにて開催されました。ICT 2026は、熱電に関する伝統的な学会であり、本テーマを通じて、「研究者間の連携の強化」、「学生や若手専門家の育成・メンターシップ」、「画期的なエネルギー技術の推進」を目的としています。特に、上記の通り本学会は熱電に重点を置いており、熱エネルギーを効率的に電気に変換するための材料からモジュール・デバイスまで、幅広く新たなアイデアを創出・共有することにより、更なる産業の発展を目指しています。
本会議では、5月19日の17:30から19時の間で、「Flexible photo-thermoelectric imager using optimized carbon nanotube ink with minimized thermal noise for real-time non-destructive inspection」という題目でポスター発表を行いました。

本研究は、水道管や橋梁といった、インフラ設備に対して透過型非破壊検査を行う為のデバイス材料及び構造提案です。近年では、上記のようなインフラ設備は老朽化が深刻な問題となっており、年々その数は増加傾向にあります。しかし、現在の検査体制は近接目視や音の聞き分けといった、検査者の技術力に依存したものが依然として多くあります。これは、検査精度のばらつきや時間的な効率の面で課題が残ります。したがって、本研究では、カーボンナノチューブ (CNT) 薄膜を用いて、リアルタイムで大面積に検査が可能なイメージングカメラデバイスを提案しました。
CNT薄膜は、可視光からミリ波の幅広い波長域において90 %以上の光吸収性能を持ちます。本研究は、CNT薄膜をイメージング光センサとして応用し、集積化することによって、上記のカメラデバイスの開発に試みました。本デバイスは、CNT薄膜が光を吸収したことによって生じた熱勾配から起電力応答を取得しています。結果として、カメラデバイスの各画素において、光源の光の強度に応じた応答の取得に成功しました。また、光源とカメラデバイスの間に文字を彫った被写体を挟み、被写体の構造同定に試みた実験では、文字の部分だけを光が透過し、カメラデバイスでその様子をイメージングすることに成功しました。
ポスター発表においては、応答を取得するにあたっての接地電極の取り方や、メカニズム、さらに高解像度化するための手法などについて、多くの研究者の方々と議論を行いました。その中では、詳細について説明することで、発想や従来の熱電変換デバイスとは異なる構造を取っている事に対して評価をしていただきました。また、研究者の方々に多角的な視点から有益なアドバイスをいただくことができました。

ICT 2026への参加は、自身にとって非常に有意義な経験でした。特に、1時間30分に及ぶポスター発表においては、普段関わる機会の少ない様々な国の方々と、自身の研究について英語で議論を重ねることができました。また、議論を通して、研究の発展に寄与する多角的な視点からのアイデアやアドバイスをいただくことにより、理解をさらに深めることができました。
さらに、学会内のスケジュールでヒューストンスペースセンターの見学を行う機会がありました。このプログラムでは、研究とは別のコミュニケーションや展示品の感想を言い合ったりするなど、和やかな雰囲気で国際的に交流することができました。
今回の国際会議への参加を通じて、自身の研究内容を国際的に発信し、それに対する世界的な動向や課題を明確に抽出し、把握することの重要性を認識しました。今回得た知見を活かして、今後の研究活動への参考にするとともに、更なる発展に向けて積極的に取り組んでいきたいと思います。
最後に、今回の国際会議への参加にあたり、多大なるご支援を賜りました貴財団に心より御礼申し上げます。
