国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和8年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
川端 祥太
(国立大学法人東京農工大学)
会議名
The 27th International Symposium on Laser Precision Microfabrication(LPM2026)
期日
2026年6月9日~12日
開催地
Greenville, South Carolina, USA

1. 国際会議の概要

LPM:International Symposium on Laser Precision Microfabricationは、2000年から日本と海外で交互に開催しているレーザー微細加工分野における世界最大規模の国際会議である。本会議では、レーザーを用いた微細除去・付加加工、3D加工、化学反応、表面機能化、産業応用など、基礎研究から産業応用まで幅広いテーマについて成果発表ならびに活発な議論が交わされる。本会議には、大学、公的研究機関、企業から多数の研究者・技術者・学生が参加し、最新の研究成果が共有された。

次回のLPM2027は2027年6月1日-4日にかけて、栃木県宇都宮市ライトキューブ宇都宮での開催が予定されている。

2. 研究テーマと討論内容

本会議では、「Control of cellular growth via surface topographies formed by different GHz burst modes of femtosecond laser」と題し、理化学研究所、東京農工大学、CETAL-National Institute for Laser, Plasma and Radiation Physics (INFLPR)、およびInstitute of Biochemistry of the Romanian Academy (IBAR)との国際共同研究として実施した研究成果について、約20分間の口頭発表を行った。

本研究は、超短パルスレーザー照射によって固体材料表面に自己組織的に形成されるナノ・サブミクロンサイズの表面微細周期構造(Laser-Induced Periodic Surface Structures: LIPSS)を組織工学分野の学理解明へ応用したレーザー加工研究に関するものである。従来報告されているLIPSSは縞状やドット状の構造が主であるが、発表者らはこれまでに、一定時間超高繰り返しパルス列としてフェムト秒レーザーパルスを照射するGHzバーストモードフェムト秒レーザーを用いることで、格子状、岩肌状、テトラポット状といった多様な表面形状が新たに形成されることを見出してきた。近年、医療用インプラントの高機能化や再生医療分野において、材料表面の微細構造を利用した細胞の接着・伸展制御や機能化が注目されている。一方で、細胞と同程度あるいはそれ以下のスケールを有する表面形状や粗さが細胞挙動に及ぼす影響や、その相関関係については十分に解明されていない。そこで本研究では、これまでに見出してきた多様なLIPSSを利用し、微細な表面形状に対する細胞の接着および増殖挙動を評価することを目的として研究を実施した。具体的には、レーザー照射により縞状、ドット状、格子状、岩肌状、テトラポット状のLIPSSを形成したチタン表面上で、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(human bone marrow mesenchymal stem cells: hMSCs)を培養し、細胞骨格および接着斑(focal adhesions)の経時的な観察・評価を行った。その結果、LIPSSの形状の違いが細胞の初期接着や増殖挙動に影響を与える可能性が示された。

発表後には、聴衆との質疑応答を通じて、多様なLIPSS構造の特徴や形状プロファイル、既存の類似研究とのアプローチの違いなどについて活発な議論を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

今回の国際会議への参加は、自身の研究成果を英語で発信する高度なプレゼンテーション経験を積むとともに、異なる専門分野や国籍の研究者との交流を通じて、固体表面のナノ構造化およびそれを利用した表面機能化研究にとどまらない、レーザー加工分野における最新の研究動向やトレンドを把握し、自身の研究の立ち位置を改めて認識する貴重な機会となった。特に、会議期間中に行った海外研究者との議論や発表者への質疑応答、さらには各講演において紹介された関連文献や研究背景の説明を通じて、自身の研究を今後さらに発展させていく上で有益な示唆を数多く得ることができた。

会議が開催されたグリーンビルは、アメリカ合衆国サウスカロライナ州に位置する落ち着いた雰囲気の街であり、会場から徒歩約15分の場所にあるFalls Park on the Reedyは、豊かな緑と小さな滝が調和した美しい公園であった。公園周辺では多くの人々が散歩や憩いの時間を楽しんでおり、魅力的な空間であることを実感した。また、グリーンビルはレーザー研究の礎を築き、メーザーの研究によりノーベル物理学賞を受賞したチャールズ・ハード・タウンズ博士のゆかりの地としても知られており、街中には緑色のレーザーポインターを手にした博士の銅像が設置されていた。レーザー研究に携わる者として、このような歴史的背景を有する地で国際会議に参加できたことは、大変印象深い経験となった。

最後に、このような貴重な国際会議への参加機会をご支援いただいた一般財団法人丸文財団に深く感謝申し上げる。本助成により得られた経験と国際的な人的ネットワークを活かし、今後もレーザー加工およびバイオマテリアル分野の発展に貢献できるよう、一層研究に励んでいきたい。

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