国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和7年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
山本 祐輝
(岐阜大学 大学院自然科学技術研究科 エネルギー工学専攻)
会議名
10th International Conference on Spectroscopic Ellipsometry (ICSE-10)
期日
2025年6月8日~13日
開催地
University of Colorado's University Memorial Center in Boulder, Colorado, USA

1. 国際会議の概要

2025年6月8日から13日までの6日間にわたり、アメリカ・コロラド州ボルダーのコロラド大学ボルダー校にて、ICSE (International Conference on Spectroscopic Ellispsometry) が開催されました。

ICSEは1993年に設立され、3年ごとに開催される分光エリプソメトリー分野における世界最大級の学術会議であり、エリプソメトリーおよび光学特性評価の応用分野に関する新しいアイデアを共有することを目的としています。

本会議においても、エリプソメトリーに関する最新の研究結果、応用技術、装置開発などについての活発な議論が行われ、私は本会議から新しく設けられた人工知能および機械学習のセッションで発表しました。


周辺の街並み

会場の様子

2. 研究テーマと討論内容

“Deep Learning Ellipsometry: Ultrafast and High-Accuracy Determination of Optical Constants, Thin-Film Structures, and Bandgaps”という題目で口頭発表を行いました。


発表の様子

分光エリプソメトリーは材料の光学特性および膜構造を非破壊、非接触かつ高精度に評価できる測定方法です。しかし、薄膜試料においては測定データの解析が複雑化し、数日から最大で1か月程度の多大な解析時間を要する問題があるなど、普及の妨げとなるような課題が残されています。そこで、近年ではAI技術(深層学習)を応用した解析技術が注目されています。しかし、その実用化には依然、解析精度や解析時間に問題が残っています。

本研究では、シミュレーションにより生成した大規模な教師データを用いて学習した深層学習モデルを活用する、新たな分光エリプソメトリー解析手法を提案しました。この手法により、従来手法に比べて解析精度と解析時間の両面で大きな向上を実現することができました。

本会議では本研究成果について口頭発表を行い、約200名の研究者に聴講いただきました。質疑応答では、光学異方性を有する材料への適用可能性や、手法の工夫による予測精度向上の可能性など、国際会議ならではの多角的な視点からのご意見を多数いただきました。また、AI技術の応用による新たな可能性に触発され、今後のAIを活用した研究への意欲が高まったという感想もあり、深い関心を持っていただけたことを実感しました。また、これらの貴重なご意見やご感想は自身の研究に対する理解と議論を一層深める有意義な機会となりました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議が私にとっての初めての国際会議でした。また、英語圏への渡航も初めてであったため、すべてが新鮮であり挑戦でした。

本会議では、貴重な口頭発表の機会をいただき、入念な準備を行って臨みました。その結果、発表自体はスムーズに行うことができましたが、質疑応答では英語でのやり取りに苦労し、うまく自分の考えを伝えることができませんでした。発表後に質問をいただいた方のもとを訪ねて改めて議論を行った際には、優しく丁寧に対応してくださり、とても有意義な時間を過ごすことができました。この経験を通じて、英語学習への意欲が一層高まり、研究活動への情熱もさらに深まりました。

また、約1週間にわたる様々な国の方々との交流を通じて、自身の英語力の成長も実感することができました。今後はさらに語学力と研究能力を磨き、次回の国際交流の機会には自ら積極的な議論を行えるようにしたいと強く感じています。

最後に、本国際会議への参加に際し、貴財団より多大なるご支援をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。

令和7年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ