第21回国際結晶成長会議(ICCGE-21)は、2025年8月3日から8日までの6日間、中国・西安にて開催された。ICCGEは1966年に始まり、結晶成長分野の基礎から応用までを包括的に扱う、世界的に最も権威ある学会の一つである。今回のICCGE21には、世界各国から研究者・技術者・学生が多数参加し、結晶成長に関する最新の理論、実験技術、応用研究について幅広い議論が行われた。
会議は、半導体結晶・光学材料・バルク結晶・薄膜・エピタキシャル成長・シミュレーション技術など多岐にわたるテーマをカバーしており、基礎科学から産業応用までの研究成果が共有された。また、複数のプレナリー講演・招待講演に加え、17種の分野分類からなるオーラルセッションやポスターセッションが並行して実施され、活発な議論が交わされた。
申請者は”Prediction of Urolithiasis Recurrence Based on Urinary Crystallization Tendencies”と題して口頭発表を行った。
尿路結石症は非常に再発率が高い疾患であり、加えて再発の反復は腎機能の低下を招き、透析の導入や死亡リスクを向上させる。結石症自体、紀元前から長く研究されてきた疾患であるが、その再発への有効な対策は飲水指導程度に留まっている。そこで申請者を含むグループはこの課題に対し、結晶工学の観点から結石症の再発を予測する技術を確立し、臨床応用に繋げることを目的として研究を行っている。
今回申請者は、尿に対して冷却という外部刺激を与えることで尿中の結晶に対する過飽和度を向上させ、結晶の観察を容易にしたこと、さらに、結晶種に着目するとリン酸カルシウム結晶の析出とその様子が再発と相関関係を持っていたことを研究成果として報告した。
ICCGE-21では初めての学会発表、初めての口頭発表、初めての英語での発表・質疑応答と非常に多くの貴重な経験を得ることができました。不安もありましたが、貴重な機会を与えていただいたので、熱意を持ってこの学会に取り組みました。特に質疑応答は拙い英語と併せてボディランゲージを駆使することで乗り切り、結果、活発な討論を行うことができました。
中国に渡航したのは初めての経験で、衛生面や言語を心配していましたが、西安は都会であり衛生面は割としっかりしているようでした。言語の方は少々問題で、現地で英語が通じることは稀でした。しかし翻訳アプリを活用してコミュニケーションを取ることはできました。支払いも基本電子決済だったので、中国ではスマートフォンとパスポートは手放せませんでした。中国の研究者は皆積極的で、総じて熱量が大きいと感じました。私もこれに倣いたいと思います。
最後に、本会議に参加するにあたりましては、貴財団から多大なるご支援を賜りました。心より感謝申し上げます。