国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和7年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
澤田 祐衣
(九州大学)
会議名
8th International Conference on Advanced Electromaterials (ICAE 2025)
期日
2025年11月25日~28日
開催地
ICC Jeju, Jeju, Korea

1. 国際会議の概要

8th International Conference on Advanced Electromaterials (ICAE 2025) は、先端電子材料に関する国際会議であり、2025年11月25日から2025年11月28日までの4日間、韓国・済州市のICC Jejuにて開催された。本会議は、「electromaterials(電子材料)」に関する幅広い研究分野を対象とした国際的なフォーラムであり、韓国電気電子材料学会の主催のもと、隔年で開催されている。

対象分野は多岐にわたり、エネルギー貯蔵材料、太陽電池や燃料電池に使用されるグリーンエネルギー材料、強誘電体材料、機能性薄膜およびデバイスなど、計17のトピックについての口頭発表およびポスター発表が行われた。特に口頭発表では多数の招待講演が行われ、各分野の第一線で活躍する研究者から、研究テーマの基礎的な背景から研究動向についての知見に至るまで幅広い知見が共有された。

 
会場の様子
(左)外観(右)会場内
会場の様子
(上)外観(下)会場内

2. 研究テーマと討論内容


発表の様子

本会議においては、私は「Non-reciprocal transport observed in conventional superconductors」という題目でポスター発表を行った。発表は「Magnetism & Superconductivity in Thin Films(薄膜における磁性と超伝導)」のセクションにて行い、Nb薄膜における超伝導現象について報告した。

本研究で着目した現象は、超伝導体における非相反(非対称)な応答である。通常、電圧と電流の関係はオームの法則V=RIに従い、電流Iの向きを正から負に変えたとしても、電圧Vの絶対値は変化しない(対称)。しかし、特定の条件下ではこの対称性が破れ、電流の向きに依存して電圧が変化する(非対称)ことが生じると知られている。この現象は次世代の超伝導デバイスに応用が期待されており、特に超伝導整流システムの設計への展開が見込まれている。さらに、先の条件が満たされているかどうかを逆説的に検証するためのプローブとしての利用も近年提案されている。

一方で、これらの現象はこれまでの研究では主に二次元物質や人工格子など、複雑な結晶構造をもつ材料を対象としてきた。そのため、現象の発現機構については材料固有の要因と構造的要因が混在し、本質的な理解に至っていないのが現状であった。そこで本研究では、これまでほとんど検討されてこなかった単純な結晶構造をもつ単体物質であるNb(ニオブ)を用いて検証した結果について報告した。我々は、従来着目されてきた結晶構造ではなく、デバイスの厚さや幅といったデバイスの幾何学的形状と、超伝導特有の磁束の挙動の関係に着目し、系統的な評価を行った。

本成果は、プローブとして利用する提案に対する重要な反証例を与えるとともに、同現象の発現メカニズムを理解する上での基礎的な知見を提供するものであり、今後の理論・実験研究に向けた重要な第一歩となると考えられる。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議を通して、私の研究対象である超伝導体における非相反現象に関する最新の研究動向について知ることができただけでなく、当該分野の専門家の方々と直接議論する機会をえることができた点で、極めて有意義であった。特に、同一の現象を研究している教授の方と、そのメカニズムについて互いの解釈や意見を共有できたのは、自身の研究を客観的に見直す上で貴重な経験となった。

また、本会議では複数回の軽食提供や二度のセレモニーが設けられており、分野の異なる研究者とも自然に交流できる環境が整えられていた。そのような場を通じて、超伝導分野に限らず、幅広い研究背景を持つ参加者と意見交換を行うことができ、国際的な研究コミュニティの広がりを実感した。

 
懇親会の様子

日本語がほとんど通じない環境で、英語を中心に、場合によっては韓国語も交えながら、積極的にコミュニケーションを図ったことは、研究内容を的確に伝える能力だけでなく、国際的な場での対話力を高める上でも大きな収穫であった。今後の研究生活においても、こうした国際交流の機会を積極的に活かしていきたいと考えている。

最後に、本学会への参加にあたり多大なるご支援を賜りました一般財団法人丸文財団に対し、ここに深く感謝の意を表する。

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