ナノスケールデバイスおよび量子・スピントロニクス、二次元材料、トポロジカル物性などに関する最先端研究を対象とした国際ワークショップである。本会議は、理論・実験の両分野の研究者が集い、基礎物理からデバイス応用に至るまでの幅広いテーマについて議論を行うことを目的としている。
開催地の紹介:本国際会議は、ハワイ州にて開催された。開催地は、自然環境と研究交流の場が調和した国際会議拠点として知られており、参加者同士の活発な議論や国際的な交流を促進する環境が整っていた。

ヤヌス遷移金属ダイカルコゲナイド (Janus TMDC) におけるスピン輸送現象 (Spin Transport Phenomena in Janus TMDCs) を研究テーマとして口頭発表を行った。本研究では、Janus TMDC が有する面外反転対称性の破れに起因して生じるラシュバ型スピン軌道相互作用 (Rashba SOC) に着目し、その結果として、従来の対称性を有するTMDCでは現れない特異なスピン流が誘起されることを理論的に示した。
発表では、電子状態の対称性およびラシュバSOCの寄与がスピン流の方向性やスピン分極に与える影響を詳細に解析し、Janus構造特有のスピン輸送特性がどのように現れるかを議論した。これにより、Janus TMDCが新たなスピントロニクス材料として有望であることを示した。
討論では、特にトポロジカル量であるベリー曲率に関して、実験研究者から測定可能性や物理的解釈に関する質問が寄せられ、理論と実験の接点について活発な意見交換が行われた。また、バンド構造やスピン分裂の起源といった電子状態の詳細に関する議論も展開され、本研究の理論的枠組みの妥当性や今後の発展可能性について深い議論を行うことができた。
本国際会議への参加を通じて、研究成果の発信および国際的な研究交流の両面において大きな成果を得ることができた。特に、本会議における口頭発表に対して学会賞 (Outstanding Presentation Award) を受賞し、本研究が国際的にも高い評価を受けたことは、今後の研究活動を推進する上で大きな励みとなった。

また、会期中には、好田 誠 教授(東北大学、実験)や、Jaroslav Fabian 教授(the University of Regensburg、理論)といった、スピントロニクスおよびスピン軌道相互作用研究分野を代表する著名な研究者と直接議論する機会を得た。これらの議論を通じて、理論研究の実験的検証可能性や、異なる理論的アプローチとの比較について理解を深めることができ、今後の研究展開に対する具体的な示唆を得た。
さらに、バンケットや休憩時間、学会全体を通じて、さまざまな国籍・研究分野の研究者と積極的に交流を行った。こうした国際的なコミュニケーションを通じて、自身の研究を英語で説明し議論する能力を高めるとともに、将来的な国際共同研究の可能性を広げる貴重な人的ネットワークを構築することができた。
