
The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2025 (Pacifichem 2025)は、環太平洋地域の化学系学協会が連携して開催する大規模な国際会議である。テーマは基礎化学から材料・エネルギー・環境分野まで幅広く、多くのセッションが同時並行で実施された。その結果、口頭発表・ポスター発表を通じて最新の研究成果が共有され、活発な質疑応答と人的交流が行われた。さらに、企業展示や関連ワークショップも併催され、研究成果の社会実装や装置・分析技術の最新動向に触れる機会も得られた。参加者は学生から研究機関・企業研究者まで多様であり、分野や地域を越えた交流が促進される点も本会議の特徴である。当該研究分野(光触媒)の世界的権威である堂免一成氏の特別講演が複数にわたって行われ、分野横断的な視点から課題設定や研究戦略を再考する契機となった。
複合型光触媒に関する研究成果を国際会議の場で提示した。ポスター発表では、研究の位置づけ(界面設計による電荷分離促進と反応選択性制御)を明確化した上で、材料設計指針と性能評価の根拠を中心に議論を行った。質疑を通じて、合成条件の再現性担保(ロット差・工程管理)、評価系の妥当性(光源スペクトル・光強度校正、量子収率算出、生成物定量の検量線・ブランク設定)、失活要因の切り分け(溶出、表面被毒、粒径変化)および機構解釈を補強する対照実験の設定など、原著論文化に直結する具体的な指摘・助言を得た。これらを踏まえ、追加実験の優先順位と論旨構成(主張と証拠の対応関係)を再整理し、原著論文としての再現性・説得力を高めるための改善点を体系的に抽出できた。

また、本発表とは別に、当研究室所属の鈴木雄登氏(M2)、梅澤優生氏(M2)、小泉生吹氏(M2)も発表を行った。各発表において活発な議論が行われ、修士論文および原著論文執筆に向けて多角的な助言が得られた(添付写真は鈴木雄登氏の口頭発表の様子)。

研究者間交流により、国際的な研究潮流(評価指標の標準化、耐久性・実環境適用を見据えた設計、界面解析の高度化)を把握し、自身の研究の相対的な位置づけと今後の展開(解析手法の導入、設計指針の一般化、応用条件の拡張)を明確化することができた。加えて、複数の研究者と連絡先を交換し、分析手法に関する情報共有や共同研究の可能性に向けた実務的な関係構築を行った。当研究室所属の学生も初めての国外学会の中、堂々と研究発表を行っており、これから国際的な場で活躍するための基礎的能力が確認され、今後の成長が大いに期待できると感じた(添付写真は当研究室から参加したメンバーの集合写真)。
以上より、本会議参加は研究内容の深化のみならず、論文化・国際発信・共同研究形成、学生成長の観点からも有益な成果をもたらした。最後に、本会議へ参加するにあたり、貴財団から多大なるご支援を賜りましたこと心より御礼申し上げます。
