CLEO®/Europe-EQECは、応用光学・フォトニクス分野を担う「CLEO®/Europe」と、レーザー物理、非線形光学、量子光学など基礎研究を扱う「European Quantum Electronics Conference (EQEC)」が合同で開催される、ヨーロッパ最大級のレーザー・フォトニクス国際会議である。固体レーザーや半導体レーザーの高出力化・新構造開発、テラヘルツ波の発生・検出技術、非線形光学を応用した周波数変換や超高速パルス技術から、量子光源の生成・制御、量子情報通信、周波数コムによる精密測定、トポロジカルフォトニクスやプラズモニクスに至るまで、産業応用から最先端基礎科学まで幅広く網羅される。例年、ミュンヘンをはじめ欧州各地や北米、アジアから大学・研究機関の研究者や企業技術者、大学院生ら約2,000名以上が参加し、口頭講演やポスターセッションなど多彩な形式で研究成果を発表する。
会場では同時開催の「Laser World of Photonics」および「World of Photonics Congress」展示会が並行実施され、世界中のメーカーやスタートアップが最新の光学機器、コンポーネント、ソフトウェアソリューションを披露した。
本研究では、異なるエネルギースケールを持つ物質の分光への応用を目的として、可視光子と中赤外光子の偏光量子もつれ光子対を生成し、それを検出することに成功した。手法として、周期分極反転リチウムタンタル酸(PPSLT)における自発的パラメトリック下方変換(SPDC)を利用し、Type-IIの位相整合条件を最適化することで、広い波長範囲での偏光もつれ光子対の生成を可能になることを計算によって示した。さらに特定のポンプ光の波長とPPSLT結晶の反転分極周期および温度で、可視域と中赤外域にわたる非縮退もつれ光子対の生成を実現した。得られた光子対のもつれ特性を評価するため、同時計数測定と量子状態トモグラフィーを用いて二光子密度行列を再構築し、量子もつれの存在を実証した。この結果は、広範なエネルギースケールにわたる量子相関解析を可能にし、量子分光への新たな道を開くものと期待される。
口頭発表では、自身の研究成果を明確に伝えるとともに、質疑応答で普段とは異なる視点からの鋭いご意見を多数いただき、有意義なディスカッションが展開されました。特に、理論的背景や応用面について新たな示唆を得られたことで、自身の研究アプローチをさらに深める契機となりました。発表後にはベルギーの研究機関に所属する研究者の方から「非常に興味深い」と声をかけていただき、研究動向や手法について意見交換を行うなど、国際交流を実践的に推進できました。この経験を通じて、異なる研究文化・専門分野を持つ研究者との対話の重要性を改めて実感し、今後の共同研究やネットワーク構築への自信を深めることができました。
最後に、本会議への参加にあたって多大なご支援を賜りました丸文財団に心より感謝申し上げます。