私が今回参加したWOPM 2025は光ポンピング磁気センサという高感度磁気センサをメインに取り扱う学会である。その内容は様々な動作モードの光ポンピング磁気センサの研究開発から生体磁気計測、鉱物探査、非破壊検査など応用研究まで多岐にわたる。光ポンピング磁気センサに関する様々な研究者が一堂に会し、発表の聴講や情報交換を直接行える1年に1度しかない貴重な機会である。
「Scalar-Mode OPMs with Spin-Echo Technique」という題目でポスター発表を行った。OPMはアルカリ金属原子とレーザ光を用いた超高感度量子磁気センサであり、アルカリ金属原子の密度やレーザ光の入射方向などにより様々な動作モードが存在する。その中でも我々は磁気シールドなしで磁場計測可能なスカラ型OPMに着目しスピンを再収束させるπパルスを導入したスピンエコーシーケンスを提案した。本提案手法では、FID信号後にπパルスを印加し、位相が乱れたスピンを反転させてスピンを再収束させることで、エコー信号を発生させ、磁場不均一の影響を補正する。従来の方法では磁場の空間的不均一性によりFID信号が急速に減衰する条件でも、本手法ではその後に観測されるエコー信号により磁場の推定ができるようになる。本手法の有効性の調査に関して実験とシミュレーションによる数値検討の両方を行った。
討論内容としてはスピンエコー法によってどのような効果が期待されるのか、実験方法、シミュレーション方法やそれらの結果についての考察、感度が制限される要因は何なのかなど様々な議論を行った。スカラ型OPMの実験系を磁気シールド外に作成した人にも話を伺ったり、今後の研究においても有意義な議論をしたりすることができた。
今回私が参加した学会は、研究分野である光ポンピング磁気センサの発表が多くあり非常に有益な機会であった。特に自身の研究に近い研究を行っている人が多数参加していたこともあり、研究に対する直接的なフィードバックやOPMに関する様々な情報を収集できた。様々な発表を聴講することもできた上に各発表資料も学会ホームページにアップロードされておりいつでも内容を見返せるので参加できて有意義であった。また、以前に国際学会に初めて参加したときよりも積極的にコミュニケーションをとることができた。質疑も含めて自分から話しかけて意思疎通を行い、自分の英語が通用していることを実感できたので成長につながったと感じている。今回の経験を通して国際的な研究コミュニティでの自分の研究の立ち位置を知ることができたと共に得られた知見を積極的に今後の研究に還元していきたい。