今回参加した PCSI (Physics and Chemistry of Surfaces and Interfaces) 51 は、2026年1月25日から29日まで、米国ニューメキシコ州サンタフェのLa Fonda on the Plazaにて開催された。アメリカ真空学会(AVS)が主催する本会議は、表面および界面における物理的・化学的性質の解明を目的とした国際会議である。
本学会では、物質の成長プロセスや界面現象、新規評価手法の開発およびそれに関する理論計算などが取り上げられ、半導体ヘテロ構造、トポロジカル材料、エネルギー関連材料、二次元材料、高誘電率・強誘電体、酸化物半導体など、広範な分野に関する研究が議論される。また、本学会では招待講演者を含むすべての発表者がポスターを掲示する形式を採用しており、分野を越えた活発な議論が促されている。
私は、Crystal Growth セッションにおいて、「Realization of Quantum Size Effects in Rocksalt-Structured MgZnO/MgO Multiple Quantum Wells Grown by Mist CVD」と題し、オーラルおよびポスター発表を行った。

岩塩構造酸化マグネシウム亜鉛(MgZnO)は、最大 7.78eVという広いバンドギャップエネルギーを有しており、水銀灯に代わる新たな発光素子用材料として注目されている。本研究は、この材料を用いた LEDの製作を念頭に置いている。一般に、LEDの発光層には量子井戸構造が多く採用されており、これまでに非真空成膜プロセスであるミスト化学気相成長(CVD)法を用いてMgZnO/MgO量子井戸構造の製作を実証してきた。本発表では、そのさらなる発展として、井戸層の膜厚を制御することにより、量子サイズ効果に起因する発光波長の短波長化を観測することを目的とした。その結果、井戸層の薄層化に伴う発光波長の短波長化を確認し、実験値は遷移エネルギーのシミュレーション結果と良好な一致を示した。
オーラル発表時の質疑では、ミストCVD法による量子井戸構造の製作に関し、水温管理など成膜環境のさらなる最適化により、結晶性の一層の向上が期待できるとの指摘を受け、今後の研究において大変参考となった。
2回目となる国際学会での発表であったため、オーラル発表における心理的な余裕など、プレゼンテーション面で自身の成長を実感することができた。一方で、質問の意図を理解することはできても、それに対する回答を英語で適切に表現する力が十分ではなく、英語によるコミュニケーション能力に課題があることを強く認識した。また、議論を深めるために、自身からより積極的に会話の機会を設ける必要性も感じた。本学会への参加を通じて、専門的知識の習得に加え、語学力向上に対する意欲がこれまで以上に高まった。
最後に、本学会への参加にあたり、多大なるご支援を賜りました貴財団に、心より感謝申し上げます。


