国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
𠮷田 靖典
(日本大学 大学院生産工学研究科 電気電子工学専攻)
会議名
The 16th Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO-PR 2024)
期日
2024年8月4日~9日
開催地
Songdo ConvensiA, Incheon, Korea

1. 国際会議の概要

The Pacific Rim Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO-PR) は、環太平洋地域で開催される会議である。会議のメインターゲットは、レーザー、量子光学における基礎物理学、デバイス開発、システム工学、アプリケーションなどであり、レーザーや電気光学の幅広い分野での最新の研究成果が報告される。Optica、オーストラリア及びニュージランド光学会(ANZOS)、中国光学会(COS)、電子情報通信学会通信ソサエティ(IEICE/CS)エレクトロニクスソサエティ(IEICE/ES)、IEEE Photonics Society、応用物理学会(JSAP)、韓国光学会(OSK)、韓国物理学会光学及び量子エレクトロニクス部門(KPS/OQS)及び台湾フォトニクス学会(TPS)の後援により、2年周期で開催されている。

本会議は1995年に始まり、今回は16回目の開催である。今年度は韓国 仁川(Incheon)にて、8月4日から8月9日の6日間で開催された。7件のTutorial、151件の招待講演、509件の口頭発表、456件のポスター発表、8件のPDPで、計1,131件の発表が行われ、CLEO-PRとして過去最多件数であった。採択率91.5 %であった。1,504名の43カ国の方々が訪問し、大きな盛り上がりを見せ終了した。

次回開催は、中華人民共和国の北京で2026年8月2日~6日の予定である。


会場

2. 研究テーマと討論内容

「Generation of 300 GHz waves using an electro-optic modulation comb」という題目でポスター発表を行った。


発表

近年、IoTや移動体無線通信の発達により、大容量・高速無線通信システムの高度化が求められている。Beyond 5G(6G)では、ミリ波より高い周波数であるテラヘルツ波帯の使用が検討され、開発が急がれている。大気減衰の少ない「電波の窓」である300 GHz帯が着目されている。従来の電気的手法では、逓倍により目的の周波数を生成しているため、雑音が増大してしまうデメリットがある。解決する手段として光学的手法が上げられる。光学的手法は、光の低位相雑音の特徴を活かし、光周波数コムという技術を用いて周波数をダウンコンバートするものである。この手法は実験室的には成功しているグループはあるが、いまだ商用には至っていない。

私達は、光学的手法を用いて搬送波300 GHzを発生し、情報の伝送を試みるものである。光と電波の変換ギアに、電気光学変調効果(EO)を用いた光周波数コムを用いるものである。EOコムを用いて低ノイズ特徴を持つテラヘルツ波を生成することで究極の信号対雑音比(SNR)を目指す。今後サブハーモニックミキサー(SHM)等を用いて位相雑音やQ値などの定量的指標により最初の一歩となる実験である。専門外の方とも議論し新しい知見を得たため実験系を見直し、改善していく予定である。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

学会としての発表が初めてであり、英語での発表も初であった。専門の方々向けの説明と、専門外の方々向けの説明の二通りを用意しておいたため、専門外の方々にも説明をすることができ、非常に良い経験となった。使用機器の詳細など答えられない部分も存在し、どのように解説するべきかを考えて固まってしまうこともあった。英語力が拙いために、適切な回答ができていたか不安であった。しかし、ジェスチャーなどで理解していただけたため良かった。議論においては、専門の方々と議論を重ね、研究についてのアドバイスをいただき、感謝している。今後の研究を考える上で良い経験となり、アイデア等を研究室に持ち帰ることができた。英語力については、トレーニングを重ねていきたいと考えている。


Banquet

ポスター発表以外の時間では、専門分野だけでなく、専門外の分野も聴講し、今後に向けた発表スライドや発表方法などを参考とすることができたため大変有意義な時間を過ごせた。招待講演では、非常に多くの方が集まり、最新のトピックスへの盛り上がりを現地で感じることができた。PDPセッションでの「Field Trial on Photonic THz Real Time Transmission of 50Gbit/s over 1km Wireless Link」にて、実際にフォトニクスを利用したテラヘルツ波通信で1Km離れた場所での非圧縮4Kのビデオ伝送を成功させていて技術進歩を感じた。

最後に、本国際会議への参加にあたり多大なご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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