MRS (Material Research Meeting) は1973年に発足以降、生活の質を向上させる材料の進歩に焦点を当てた国際学会であり、90ヶ国、13,000人以上の会員を有しています。また、本学会「MRS Fall meeting 2024」では、Broder Impact (BI), Characterization (CH), Electronics, Optics and Photonics (EL), Energy and Sustainability (EN), Materials Theory, Computation and Data Science (MT), Nanomaterials (NM), Processing, Manufacturing and Synthesis (PM), Quantum Materials (QT), Soft Materials and Biomaterials (SB), Structural and Functional Materials (SF)の10個のセクションについて、636件の口頭発表および89件のポスター発表が行われ、加えて174件の企業による展示会が開催されました。
また、次回2025 MRS spring meetingは2025年4月7日から11日の5日間、シアトルで開催されることが決定しております。
私は、NANOMATERIAL (NM) のセクションにおいて、「Preparation of Silicon Nanosheet/Reduced Graphene Oxide Heterostructures and Their Application as Anodes for Li-ion Batteries」の題目で口頭発表を行いました。
リチウムイオン電池は、高エネルギー密度、軽量化の容易さ等の利点から多くのポータブル機器内部に必須な存在です。また、近年においてEVへの採用に向けた、より高い容量値と寿命を持つ電池への需要が高まり、次世代電池の研究が多く進められています。本研究では、既存のリチウムイオン電池内部負極カーボン材料について、10倍以上の容量値を有するシリコン材料への転換を試み、これをナノ構造制御することで還元型酸化グラフェンを支持体としたシリコンナノシート/還元型酸化グラフェンナノシートのヘテロ構造を有する2D-2D負極材料の合成を行い、この高い負極特性について報告しました。
本会議では、なぜシリコンナノシートが合成過程において完全なシリカに変化せず、酸化率を低く保っていられるのかについてご興味をいただきました。表面官能基測定だけではなく、結晶構造としての変化について詳細を追うことで、より期待通りのナノ構造制御を可能にできるのではと考えさせられる議論となりました。
口頭発表において、多数の新規電池(リチウム液系・固系・硫化物系、レッドクス等)の研究内容を聞くことができ、先端材料とその場観察の技術について多く知見を集めることができました。また、興味深かった点は、企業ブース展示の一つにおいて、各合成サンプル画像に色を自由に塗ることで、その美しさ・面白さを競う展示があったことです
研究者として、多くの観点から興味を持ち、楽しむ心を持つことを学びました。
また、専門性の高い英語の使用に慣れず、普段からより英語での議論を研究室で行うべきだと感じました。今後より一層、自身の研究を国際的なものであると認識し、海外の動向を多く取り入れたいと思います。
最後に、今回の国際会議の参加にあたり、多大なるご支援を賜りました貴財団に、心より感謝申し上げます。