34th International Conference on Diamond and Carbon Materials会議は、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、グラフェンといった炭素材料の中でも特に秀でた機能性を有するナノ炭素材料の学術的展開と産業応用を物理化学的アプローチから解決することを目指す世界的に権威ある学会です。また、本会議では、Young Scholar Awardと称する有望な若手研究者に対するコンペティションも設けており、若手の研究者に対しても裾野が広いのが特徴です。今年はドイツのドレスデンにて、2024年9月1日~5日の計5日間にわたって開催されました。参加者は38か国から計256人おり、日本からの参加者も数多くいました。
次回は2025年8月31日から9月4日にスコットランドのグラスゴーで開催予定です。
本会議にて、「Synthesis of 2D Nanosheets Using Magnetron Sputtering and Heat Annealing」というタイトルでポスター発表を行いました。物理気相成長法を用いた二次元機能性原子薄膜の新規合成法の提案という内容で発表を行いました。
二次元機能性原子薄膜は、原子数層厚さのシート状材料であり、通常の物質に比べ極めて特異的で優れた特性を示すことから、多くの分野で革新的な進歩をもたらすことが期待されています。本研究では、二次元機能性原子薄膜の中でも特にグラフェンと六方晶窒化ホウ素を取り扱っています。今回提案した合成法は、前駆体として用いるターゲットの取り扱いが容易であり、原材料となる原子の供給にはスパッタリング法を使用するため、ターゲットから飛来した原子が基板表面にそのまま堆積して薄膜を形成することから、均一性が高く、表面の平坦性や原子層数の制御も容易であり、さらに従来の合成時間である1層1時間をはるかに凌駕する1層1分の超高速合成が可能となっています。本会議では、従来の合成法との比較や、作製した膜の特性について議論を行いました。
国際会議に参加し、炭素材料の最先端の研究内容を聴講することでき、非常に充実した日々を過ごせました。自身の発表では、拙いながらも英語でコミュニケーションをとり各国の参加者と議論を行うことができました。しかし、全てを理解してもらうのは難しく、自身の英語力不足を痛感したと同時に、語学学習への意欲も湧きました。本会議を通じて得た新たな知見や経験を今後の研究活動等に活かしていきたいと思います。
最後にはなりますが、多大なる支援をしていただいた貴財団に厚くお礼申し上げる次第であります。