国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
竹内 愛斗
(神戸大学 大学院理学研究科 化学専攻)
会議名
29th IUPAC Symposium on Photochemistry
期日
2024年7月14日~19日
開催地
Valencia, Spain

1. 国際会議の概要


会場であるThe Valencia Conference Centre

IUPAC Symposium on Photochemistryは隔年で開催される光化学分野における権威ある国際会議である。光が関わる広範な分野(化学・生命科学・材料科学など)を対象としており、基礎研究からデバイス応用まで、さまざまな研究成果が世界中の研究者によって発表される。

今年度は、マギル大学のGonzalo Cosa教授とバレンシア工科大学のMaria Luisa Marin教授を議長として、スペインのバレンシアで開催された。

本学会は10の研究分野から構成されており、私は「Single molecule photochemistry imaging」分野においてポスター発表を行った。

2. 研究テーマと討論内容

「Single-particle photoluminescence imaging of organic–inorganic perovskites in aqueous solution」という題目で発表した。


ポスター発表の様子

有機無機ペロブスカイトは、可視光応答性や合成の簡易さなどから、次世代太陽電池や光触媒などのデバイスへの応用が注目されている材料である。これまで、構造安定性が低い点が主な問題点であった。しかし近年、ペロブスカイトが水溶液中に飽和した動的平衡状態であれば、安定性が飛躍的に向上することが実証された。本研究では、この条件下におけるペロブスカイトの電荷キャリアダイナミクス・構造安定性を評価した。

時間分解発光測定から、界面電荷移動速度と光触媒活性に相関があることを解明した。また、結晶形状のイメージング・X線回折測定から、ペロブスカイトが動的平衡状態において特異な挙動を示すことを見出した。

発表では、動的平衡状態におけるペロブスカイトの構造安定性に関して質問を受け、そのメカニズムの詳細について議論した。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

海外で開催される国際会議に参加することは今回が初めてであり、貴重な経験ができた。研究発表における議論だけではなく、コーヒーブレイクやランチの際にコミュニケーションを図る機会があり、多くの海外の研究者と関わりをもつことができた。

ランチで同席になった海外の研究者がポスター発表に立ち寄ってくれ、研究内容について議論を行った。研究以外においても、積極的にコミュニケーションを図ることの必要性を感じる経験となった。

本国際会議への参加を通じて、自身の研究の意義・課題を再確認することができた。今後はさらなる研究の推進・英語力の向上に努めていきたい。

最後に、本国際会議への参加にあたり、多大なるご支援を賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。

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