International Symposium on Information Theory and its Applications (ISITA) は情報理論とその応用に関する主要な国際会議であり、学生を含む若い研究者が研究の楽しさを知る場を提供し、情報理論とその応用に関する新しい成果を世界と共有するための国際交流の場を創出しています。
1990年の創設以来、西暦の偶数年に開催されており、本年度は2024年11月10日から13日の4日間、台湾の国立台湾科技大学にて開催され、3件の全体講演と80件の技術プログラム、18件のポスターセッションが行われました。
次回は2026年の10月後半から11月前半ごろに、日本の沖縄で開催される予定です。
私は本会議で、「Quantum Deletion/Insertion Errors in Optical Qubits due to Synchronization Error」という題目で発表させていただきました。
近年、量子情報技術の発展が著しく、量子コンピュータは超電導やイオントラップを量子ビットとして用いる方式が主流となっているのですが、そのような中で光の量子ビットがスケーラビリティを有する媒体として期待されています。
そして、現実的な問題の一つとして量子削除挿入通信路において発生する誤りに関する研究が多く進められており、その誤りを訂正する符号についても研究が行われています。この通信路における誤りは同期誤りによって引き起こされるとされており、この通信路で想定している量子ビットとは異なり、光の量子ビットの一つであるコヒーレント状態量子ビットは、空間の領域によって定義され時間的な広がりを持つため、同期誤りがより本質的となり、この通信路モデルの適用可能性を考察することが重要となります。
本研究では、基本量子状態としてコヒーレント状態を用い、その重ね合わせ状態を伝送した際の同期誤りによる誤りの性質について述べ、この場合においても現在のモデルが適用できないことをFidelityの計算によって示しました。
同セッションでは量子削除挿入誤りやその訂正符号に関する研究の発表が行われており、自身の研究内容に直接関連する研究内容をお聞きすることができたため、自身の今後の研究課題である誤り訂正符号の提案のための新たなる知見として取り入れ、モチベーションを高めることができました。さらに、他大学の方と研究について話し合うことができ、普段はなかなか得ることができない他大学の方との交流を行うという貴重な機会となりました。
また、本国際会議は情報理論に関する議論がメインで行われており、量子に関する議論でない異なる分野の動向を知ることができる良い機会となりました。
最後になりますが、本国際会議の参加にあたり、多大なるご支援を受け賜りました貴財団に心より御礼申し上げます。