IEEE GLOBECOM (Global Communication Conference) は、IEEEのCommunication Societyが主催する二大国際会議における一つです。今年は、2,300件以上の論文が投稿され、その中から査読を経て30%台の論文が採録されました。12月8日から12日にかけて、南アフリカ共和国のCape Town International Convention Centre (CTICC) で開催されました。参加人数は2,000人近くであり、発表件数はシンポジウムで900件、ワークショップで300件以上でした。
2025年のIEEE GLOBECOMは2025年12月8日から12日にかけて、台湾の台北で開催される予定です。
“Relative Position Estimation Using Cross Filter for Rolling Shutter Cameras”と題して、インタラクティブセッションを行いました。
日常生活において不可欠になっている位置推定技術の一つに、可視光測位が挙げられます。発光ダイオード(LED: Light Emitting Diode)を送信機、イメージセンサ(IS: Image Sensor)カメラを受信機とし、一般に普及する機器で導入することができます。
点灯するLEDをISカメラが捉えるとき、LED像の直径から位置推定を行います。このとき、1フレームに直径を把握できる1回のみの位置推定となります。この問題点として、LED像を捉えないフレームの行では位置推定に使えません。また、ISカメラのフレームレートが低いと位置推定の間隔も制限され、ISカメラの性能に推定間隔が依存します。
そこで、本研究ではクロスフィルタを用いた相対位置推定を提案します。
クロスフィルタとは、入射する光がフィルタ上で線形上に拡散する特性をもちます。クロスフィルタをISカメラに取り付けることで、拡散した光の画像を受け取れます。これによって、フレームの各行で拡散光を捉えられ、最短でフレームの2行目から位置推定を行うことができ、光源より早い行で推定できます。加えて、一般に普及するローリングシャッタISである、1行ずつ露光しながら各行を読み出す動作を利用することで、異なる時間で撮影された各行ごとの位置推定が可能となります。したがって、クロスフィルタなしの位置推定より推定間隔が短く、位置推定の高速化が可能となります。
実験結果より、クロスフィルタなしの位置推定は1フレームに1回だったのに対し、クロスフィルタありでは1フレームに最大480回推定でき、かつ600行以上早い行で位置を出力できたことを確認しました。
今回、会議室数や各部屋の主題を統一するために、論文の質に関係なく、講義形式であるシンポジウムセッションと対話形式であるインタラクティブセッションに分かれました。私はインタラクティブセッションで行いました。会場にはディスプレイが30台あり、45分間の配分で対話をしながら発表を行いました。
今回の発表を通して、英語で回答したり聞き取ったりする力が不足していることを実感しました。質問に対して聞き取れずに別の表現に変えていただいたり、聞き取れても回答するのに時間がかかってしまったりしました。多国籍の方と意見交換ができる貴重な機会でありましたが、踏み込んだ議論を行うために英語力向上が必要であると感じました。
初めての国際会議の参加であり、研究への意欲が高まる機会となりました。様々な研究者の発表や意見交換を通して、最新の研究や高度な議論を見聞きしました。これによって、採択率30%台の国際会議に自分の研究が通ったことを実感し、自分の研究に自信を持つきっかけとなりました。また、研究の分野外のセッションにも参加でき、知見を深めることができました。
最後に、本会議への参加にあたって丸文財団様からご支援をいただけたことに、心から感謝申し上げます。
飛行機や街中を歩いている中、至る所で南アフリカを象徴するテーブルマウンテンが見られます。テーブルマウンテンに登ると、南アフリカを一望でき絶景です。ケープタウンでの観光に、テーブルマウンテンのほかウォータフロントが挙げられます。大きなショッピング施設で、レストランからフードマーケット、レジャーを行えます。
北ケープ州の方にはダイヤモンドの産地があり、アフリカ大陸で最初にダイヤモンドの採掘が行われた場所があります。採掘技術も高く、高品質なダイヤモンドが特徴です。
気候としては、今回の12月上旬は夏でありましたが比較的過ごしやすかったです。終始晴れて太陽が照っていましたが、暑くても木陰にいれば涼しかったです。