国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
関口 将護
(筑波大学)
会議名
HCI International 2024
期日
2024年6月29日~7月4日
開催地
Washington Hilton Hotel, Washington DC, USA

1. 国際会議の概要

第26回 HCI International (HCII) 2024は、2024年6月29日から7月4日までアメリカのワシントンDCで開催されたHCIにおける学術集会です。HCIIは、21の著名な国際委員会の後援の下、関連会議と共同で、1つの管理と1つの登録の下で開催されました。HCII2024は、「ハイブリッド」会議として開催されました。

本会議に、69ヶ国から2,206人が参加し、820人が現地参加しました。また、86ヶ国から6,341人の著者が登録し、1,271件がpaper、309件がposter、254件がLBW paper、106件がLBW posterとして掲載されました。

論文は、Springer社から複数巻セットで出版されます。セットの最初の62巻は会議前に発行され、会議後に「Late Breaking Work」巻を含むように更新されます。論文はLNCSおよび LNAIシリーズに掲載され、短い研究論文の形式のポスター拡張アブストラクトはCCISシリーズで公開されます。すべての巻はSpringerLink Digital Libraryを通じてオンラインで利用可能で、Clarivate AnalyticsのWeb of Scienceの一部であるCPCI、Scopus、EI Engineering Index、ACM Digital Library、Google Scholar、DBLPなど、いくつかのサービスによって索引付けされます。

次回のHCIIは,2025年6月22日から27日までスウェーデンのゴシアで開催されます。


開会式

会場 Washington Hilton

2. 研究テーマと討論内容

7月4日に「Authentication Method Using Opening Gestures」という題目にて発表しました。我々の論文は、テーマ「HCI-CPT: 6TH INTERNATIONAL CONFERENCE ON HCI FOR CYBERSECURIT, PRIVACY AND TRUST」においてBest Paperに選出されました。

我々は、ドアノブを捻る動作(開扉ジェスチャ)によって個人認証を行うシステムを実装しました。本システムは、スマートロックを対象とした行動生体認証に基づく個人認証システムであり、ユーザがドアノブを捻る際の手の動きを利用しました。具体的には、静電容量方式センサ、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサおよび地磁気センサから得られるデータに基いてユーザを認証する署名を生成しました。本システムは、解錠のために物理鍵およびパスワードを必要とせず、顔および指紋を使用した生体認証に比べ、プライバシの危険性も少ないです。我々は、本システムを実現するため、認証に有用なジェスチャを模索しました。10名の参加者がデザインした開扉ジェスチャの動きを計測し、センサデータに対し主成分分析を実施しました。この結果、主成分得点の高い31種類の特徴量を抽出しました。さらに、抽出した特徴量を利用した認証実験の結果、平均再現率0.832、平均偽陽性率0.002の認証精度を得ました。


登壇発表

Best Paper受賞

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

発表後、多くの方から質問・コメントをいただきました。セキュリティ分野では初心者であったため、議論の中で新しい知見や感想を得ることができ、より秘匿性の高いスマートロックの実現に向けて一歩前進することができたと考えます。また、議論について常に歓迎の雰囲気があり、自身の研究者として貴重な経験を得られました。


レセプション

初めて英語での登壇発表を行うことになり、当初は緊張していました。しかし、皆様の温かい雰囲気に助けられ、活発な意見交流ができました。こうした経験は、国際学会に参加しないと得られないものであり、自身の研究者としての成長に不可欠だと感じています。

また、発表だけでなく学会にて開催されたイベントにも参加しました。本学会では学生レセプションがあり、そちらにも参加しました。ただし、コミュニケーションをとりたいタイミングでうまく言葉がでず、話題を逃してしまうことがありました。今回の体験は、英語学習への意欲を一層高めるきっかけとなりました。

最後に、ご支援を賜りました一般財団法人 丸文財団の皆様に心より御礼申し上げます。

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