International Conference on Nanostructured Materials (NANO) はヨーロッパやアメリカ大陸、アジアなどの幅広い地域で開催されてきたナノ構造材料全般とそれらの応用に関する全世界規模の国際会議である。この会議は国際ナノ構造材料委員会(International Committee on Nanostructured Materials, ICNM)の後援の下、2年に1度開催されている。その第17回の開催となる今回の会議ICNM-NANO2024はファリハ科学技術大学(Khalifa University)にて開催された。
これまで様々な地域で開催されてきた本会議だが、中東地域での開催は初であったようだ。今回の開催は2024年11月3日から11月8日までの6日間で行われ、23のトラックにわたる様々なテーマの下、非常に多くの講演や発表が行われた。2つのPlenary Talkと8つのKeynote Talkに加え、300を超える非常に様々なオーラルセッションに60にもおよぶポスター発表が実施された。
このように非常に大規模な国際会議であるNANOは、次回の2026年の開催はイタリアにて開催されることが決定している。
報告者は本会議で、「Two-dimensional integration design of carbon nanotube sensor for realizing visualization of long wavelength information」という題目で口頭発表を行った。
Carbon nanotube (CNT) 膜を用いた光センサとその非破壊検査応用に関する研究である。CNT膜型センサにおいては熱雑音が支配的であるためその雑音の低減を目的とした素子の低抵抗化にとり組んだ。さらに、低抵抗化されたCNT膜型センサを2次元集積し、8×8の64ピクセルを25mm四方に集積化することに成功している。加えて、この集積化されたCNT膜型イメージャを用いた赤外光などの長波長光での物体の長波長光情報の可視化による非破壊検査応用について発表で述べた。
ナノ構造材料を光センサの素子材料として用いたマクロな世界での応用のため、聴衆の方々の専門からは少し外れた内容ではあった。だが、ナノ材料を専門とする様々な研究者の方々の観点から貴重なご意見を伺うことができた。そのため、普段の研究の中では得られない視点からのご意見をいただくことができ、非常に有意義な議論の時間となった。
報告者は口頭発表そのものが初めてな上、国際会議での発表となり発表は非常に緊張した時間となった。だが、発表では練習の成果もあり発音ミスや原稿を忘れて発表が止まってしまうといった大きなミスをすることなく発表を終えることができた。ただ、質問に対して聞き返してしまったり、説明に時間を必要以上に要してしまったりと自身の英語力がまだまだ足りていないと改めて実感する機会となった。今後の国際会議での発表や自身の能力向上のために今後も日頃から英語力の向上に努めていきたい。
イスラム教圏の国へ訪れるのは初めての経験であったため、多くの公共施設内に祈禱室が設置されていることが新鮮であった。また、学会会場や宿泊したホテル、移動に用いたタクシーなどで多くの現地の方と交流を持つことができた。中東地域の文化や人々に触れることは常に新鮮な発見の連続であり、とても貴重な国際経験となった。
最後に、今回の国際会議への参加にあたって多大なるご支援を賜りました貴財団に対しまして、心から御礼申し上げます。