国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
織田 大幹
(東京都立大学 システムデザイン学科 情報科学域)
会議名
The 22nd International Conference on Advances in Mobile Computing and Multimedia (MoMM 2024)
期日
2024年12月2日~4日
開催地
スロバキア プラスチラバ Comenius University in Bratislava

1. 国際会議の概要

iiWAS2024 (The 26th International Conference on Information Integration and Web Intelligence) / MoMM 2024 (The 22nd International Conference on Advances in Mobile Computing and Multimedia) は、Webインテリジェンスに関する会議とモバイルコンピューティング・マルチメディア分野の会議が一体運営されている国際会議です。会場はアジアとヨーロッパに設定されることが多く、歴史的にも日本人が数多く貢献している会議の一つで、アジアとヨーロッパの研究交流を密に行えることが特徴です。

2024年はスロバキアの首都ブラチスラバで12月2日から3日間開催されました。ブラチスラバは中欧に位置するスロバキア最大の都市ですが、スロバキアの人口自体が543万人で、ブラチスラバの人口は48万人であり、ブラチスラバは日本でいうと大分市の人口と同程度で、首都としては非常にコンパクトな街でした。ブラチスラバには国際空港もありますが路線が限られており、日本からの参加者はほとんど隣国オーストリアのウィーン空港を利用していました。オーストリアのウィーンとスロバキアのブラチスラバは共にドナウ川に面して発展した街で、『ツインシティ』とも呼ばれており、世界一距離が近い首都同志だそうです。この時期のヨーロッパらしく街中央の旧市街はクリスマスマーケットで彩られ、会議後も参加者達とのコミュニケーションの舞台となりました。

会議は3つのプレナリーセッションと21の研究発表セッションから構成されており、活発な研究討議が行われました。研究のトピックはAI技術やAIの応用研究が多く、3つのキーノートもAI技術に関するものでした。

2. 研究テーマと討論内容

研究テーマ: Person Identification and Position Estimation with Multiple Moving spherical Cameras

上記のテーマで口頭発表を行った。本研究では、複数の移動する360°カメラを用いて人物の識別と位置推定を行う新たな手法を提案する。従来のカメラシステムでは、撮影範囲の制約やカメラの設置位置による制限があったが、本手法ではカメラを移動させることで広範囲の撮影が可能となる。これにより、撮影された映像から自動で対象人物を検出し、必要な情報のみを切り抜く技術の実現につながることが期待される。

発表では、まず移動する360°カメラの映像を活用した人物識別と位置推定の基本的な原理を説明した。具体的には、カメラごとの映像から対象人物を特定し、カメラの位置情報を組み合わせることで対象の3D位置を推定する方法を紹介した。さらに、既存の固定カメラとの比較や、撮影環境の変化による影響についても議論を行った。

討論では、本手法が適用可能なシーンとして、どのようなものが挙げられるかなど、研究の有効性について指摘された。また、既存のカメラ技術を360°カメラに活用した場合の可能性についても議論がなされ、動物の監視技術や、スポーツシーンでの使用例をもとに、様々な意見が交わされた。

これらのフィードバックを踏まえ、今後の研究において適用可能な技術の検討を進める予定である。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

私は今回、初めて海外で開催された国際会議に参加した。初めての国際会議であり、英語での発表や討論が円滑にできるのか不安を抱えていたが、発表を通じて多くの海外の研究者と交流する貴重な機会を得ることができた。

口頭発表では、自分の研究内容を紹介し、その場で直接質問を受けることで、さまざまな視点から研究を振り返る機会となった。特に、研究の応用可能性や、既存のカメラ技術との組み合わせについての議論が印象的であり、今後の研究の方向性を考える上で大きな示唆を得ることができた。一方で、質疑応答では英語での瞬発的な受け答えに苦戦し、特に専門用語を交えた詳細な説明をスムーズに行うことの難しさを痛感した。

また、本会議では、各国の研究者の発表を聞くことで、自分の専門分野とは異なる研究にも触れることができ、視野を広げる良い機会となった。発表後の意見交換では、異なる研究アプローチや技術の活用方法について議論することができ、新たな視点を得ることができた。さらに、食事の場などでは、研究の話にとどまらず、各国の文化や研究環境についても交流することができ、国際会議ならではの貴重な経験となった。

研究者として、今後さらに深い議論を交わし、国際的な場で活躍するためには、英語力の向上が不可欠であると強く感じた。今後は、研究の発展とともに、より広い視野を持って研究に取り組んでいきたい。

最後に、本国際会議に参加するにあたり、ご支援を賜りましたことに心より感謝申し上げる。

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