国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
野村 崚太
(国立大学法人 東京科学大学)
会議名
ECS Pacific Rim Meeting (PRiME 2024)
期日
2024年10月6日~11日
開催地
Hawaii Convention Center & Hilton Hawaiian Village, Honolulu, Hawaii

1. 国際会議の概要

PRiME 2024国際会議は、2024年10月6日から11日にかけて、ハワイ・オワフ島ホノルルのコンベンションセンターにて開催された。本会議は、電気化学会(ECS)が主催するもので、4年に一度開催される国際的な学術会議である。前回は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響によりオンラインで開催されたが、今回のPRiME 2024は対面形式での開催となり、世界中から企業、大学、研究機関に所属する研究者たちが研究発表を行った。

この会議では、各国の研究者がそれぞれの専門分野における最新の研究成果が発表された。セッションは多岐にわたり、エネルギー貯蔵技術、バッテリー、電気化学的反応の解析など、さまざまなテーマが取り上げられていた。研究発表においては、産業界や学術界の最新の技術動向が紹介されるとともに、それぞれの課題や展望についても議論が行われた。各発表者は、自らの研究結果に対してフィードバックを受け、学術的な洞察を深める機会を得た。

また、10月7日以降はポスターセッションが行われ、多くの研究者が自身の研究内容をポスター形式で紹介した。このセッションでは、参加者同士が直接議論を行うことができる貴重な機会となった。それぞれ互いに意見を交わし、今後の共同研究や技術協力の可能性についても話し合う場となっていた。

2. 研究テーマと討論内容

今回、私は「Preparation of Amorphous SiO2 Coated Li4Ti5O12 Anode and Their High Cycleability」というタイトルでポスター発表を行った。発表内容は、リチウムイオン電池(Liイオン電池)の負極材料として注目されるLi4Ti5O12(LTO)に関する研究である。近年、電気自動車(EV)やスマートフォンなどのエネルギー源としてLiイオン電池の需要が高まっており、その中でも、LTOはその優れたサイクル寿命と安全性から特に注目されている。私の研究は、このLTOの表面に人工的に二酸化ケイ素(SiO2)のコーティング層を設けることで、さらに高い長寿命化と高速充放電性能の実現を目指したものである。

SiO2でコーティングを行うことで、負極材料の表面安定性を大幅に向上させ、特に1.5分という非常に短い充放電時間でも50%以上の容量を維持できることを確認した。また、1,000回の充放電サイクル後でも93.3%の容量保持率を示すという非常に高い耐久性を持つ電極を作成することに成功した。この結果は、Liイオン電池の長寿命化だけでなく、将来的な高速充放電技術の発展にも寄与しうると私は考えている。

また、発表の際は多くの参加者と英語を用いた議論が行われた。特に、粉末材料の表面安定性をさらに向上させるための手法や、より高いレート特性を実現するための技術的な意見交換が活発に行われた。参加者からは、私の研究の可能性について多くの質問や提案が寄せられ、今後の研究について多くの発想を得ることができた。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

PRiME 2024に出席したことで、電気化学やバッテリーに関する最先端の研究に触れる貴重な機会を得ることができた。会議では、多くの専門家が最新の研究成果を発表しており、特にエネルギー貯蔵技術や電気化学の分野における技術進展を深く学ぶことができた。このような世界的な研究動向を直接聴講することにより、今後の自身の研究に役立つ多くの知見を得たと感じている。

ポスター発表の場では、2時間にわたり常に多くの参加者が訪れ、英語を用いて絶え間なく意見交換を行うことができた。自分の研究内容を英語で説明することに成功したものの、他の分野のポスター発表を聴講した際には、内容を英語で理解することが難しく、特に専門外のテーマに関しては英語力の不足を痛感する場面もあった。これにより、英語での専門的な議論をスムーズに行うためには、さらに語学力を向上させる必要があると強く認識した。

総じて、自身の研究活動においても多くの学びを得ることができた。今後は、これらを踏まえつつ、自分の研究に取り組み、年内にその成果を論文としてまとめ上げる気概である。

最後に、本会議の参加にあたり貴財団に多大なるご支援をいただきましたこと、心より感謝いたします。

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