ISPACS (International Symposium on Intelligent Signal Processing and Communication Systems) は、1992年から開催されている年次会議であり、信号処理及び通信システムに関する主要な国際会議の一つとなっています。本会議ISPACS 2024は台湾・高雄のHoward Plaza Hotel Kaohsiungで開催され、約370名の参加者が集まり、日本からの参加者も多く見られました。
今回のメインテーマは、“A Better Future through the Ubiquitous Application of AI Technologies, from Semiconductors to Human Interfaces”で、AIに特に焦点を当てた内容でした。
“Asynchronous SAR ADC with Parallel Comparators Inspired by Hopfield Network”というタイトルで、口頭発表を行いました。
ADC (Analog-to-Digital Converter) とは、音、光、温度といった、実世界のアナログ信号を、デジタル信号処理可能なデジタル信号に変換する回路です。古典的なニューラルネットワークである、ホップフィールド・ネットワークの構造に基づいたADCは、高速なAD変換とシンプルな設計が可能という利点がありますが、回路規模が増大してしまう点や複数の参照電圧が必要であるという点から、回路の集積化には適さないという技術課題があり、実用化には至っていませんでした。本研究では、参照電圧を削減することで、集積化に適した回路構成を考案し、シミュレーションによって提案するADCの実現可能性を確認しました。発表後は、提案ADCの具体的な用途や、回路で用いるキャパシタの容量値についての質問をいただき、研究についての考えを深めることができたため、非常に有意義な経験となりました。
初めての国際学会への参加だったため、私にとって非常に貴重な経験となりました。質疑応答では、質問をうまく聞き取れず、何度か聞き返してしまったことや、返答時に自分の言いたいことが適切に伝わっているか不安が残る部分もあり、英語力の不足を痛感しました。この経験を通じて、英語習得への意欲がさらに高まりました。また、他大学の先生方や学生と交流を深めることができ、研究への意識が一層向上しました。
最後に、本学会の参加にあたり、貴財団にご支援を賜りましたこと、心より感謝申し上げます。