SPIE. Photonics West 2025はSPIEが主催する、光学やフォトニクス分野で世界的な国際会議および展示会である。本会議は毎年1月末から2月上旬にかけてカリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニセンターで開催された。本会議はバイオメディカルに関する会議「BiOS」、レーザに関する会議「LASE」、オプトエレクトロニクスに関する会議 「OPTO」、応用量子技術に関する会議「Quantum West」の4つに分かれており、講演件数は5,000件以上、参加者は約24,000人であった。「LASE」は19会議で構成されており、その中の一つ「Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing (LAMOM) XXX」にて著者はポスター発表を行った。
また会議と併せて、「PHOTONICS WEST EXHIBITION」「BIOS EXPO」「QUANTUM WEST EXPO」「AR|VR|MR Exhibition」の4つの展示会も開催されている。
次回Photonics West 2026は2026年1月17日~1月22日に開催予定である。
著者は「Effect of beam shaping on spatter suppression in keyhole welding using 16kW disk laser」と題してポスター発表を行った。レーザ溶接ではスパッタと呼ばれる溶融金属の飛散現象が起こる。スパッタは溶接欠陥を引き起こすため、スパッタ抑制機構の開発が求められている。先行研究により、レーザを3点に分割する3spotレーザを用いて溶接を行うと、スパッタが通常時の1spotレーザと比較して1/3まで減少することが分かっているが、スパッタ減少のメカニズムは分かっていない。そこで本研究では、溶接中の溶融挙動を、透過X線装置を用いてリアルタイムで観察することで3spotレーザの効果を調査した。その結果、レーザ掃引速度を変化させても3spot使用時はスパッタが減少することが分かったとともに、前後レーザ照射部でキーホールが発生した場合にはスパッタ抑制効果が小さくなることが分かった。以上から、3spotによるスパッタレス溶接には前後レーザの入熱制御を行ってキーホールを発生させないことが有効であることを明らかにした。レーザ光のビームプロファイルを行ったため、他のビームプロファイル形状との違いについて質問を受けた。他のスパッタ抑制効果を持つプロファイルでもスパッタ減少メカニズムは分かっておらず、本研究でそれを解明したことで今後のビーム整形による溶接性能の向上に繋がると回答した。その他、レーザ溶接におけるスパッタ抑制機構について議論を深めた。
著者は今回初めてアメリカに渡航して国際会議に出席した。日本の学会との規模の違いに驚いた。展示会場では、ハッピーアワーという時間を設定している展示ブースがあり、そこではお酒を飲みながら展示内容の説明などをしており、親睦を深める機会が多数あることに感銘を受けた。バンケット(懇親会)では、パーティのような独特の雰囲気で、ステージではパフォーマンスが行われていた。アメリカの自由な風土や異文化に触れたことで文化的な視野を広げる貴重な経験になった。ポスター発表以外の時間では、自身の研究分野であるレーザ加工を中心に口頭講演などを聴講した。レーザ加工において多様な視点や目的で研究が進められていることが分かった。特に企業が多かったことからコスト面に注目した研究が多く、異なる視点からの知見が深まると同時に自身の研究の位置づけなどを確認できた。
ポスター発表においては、原稿を用意していたため説明はできたが、リスニング能力が低く相手の質問を聞き取ることが難しかった。断片的に単語は聞き取れたが、詳細や質問の意図を理解するのに苦労した。その回答も、とっさに英語が浮かばず、ポスターを指さすなどジェスチャーで伝える場面が多かった。海外の質問者の方が熱心にこちらの話を聞いて意味をくみ取ろうとしてくれたが、より議論を深めるには英語力の向上が不可欠であると痛感した。本会議に出席した経験は自身の研究に置ける多様な視点と新たな発想を見出すきっかけとなったと同時に自身の言語的な課題を確認できた貴重な体験となった。
最後に、この度の国際会議に出席にあたり、貴財団よりご援助を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。