CLEO-PR 2024は環太平洋地域で開催される光学やフォトニクスに関連する大規模な国際会議である。2024年の8月4日から8月9日にかけて、韓国・仁川広域市の松島コンベンシア(Songdo ConvensiA)で開催された。
本会議は、主にレーザー光源から、量子光学、光通信、バイオフォトニクス、イメージング、光学・フォトニクスと機械学習などの多彩な16の分野から構成され、最新の研究成果報告と活発な議論が行われた。36カ国から1,500人以上もの参加者があり、156個のセッションにて1,000件以上のプレゼンテーションが行われ、多数の企業による展示や発表などもあり、大変盛況であった。
また、韓国の文化を体験できるコーナーなどもあり、活発な文化交流が行われていた。
“Development of an All-polarization-maintaining Tri-comb Fiber Laser with a Mechanical-sharing Configuration”というタイトルでポスター発表を行った。
光計測分野において、2つの光コムを用いたデュアルコム分光法は、高速・広帯域・高分解能な次世代分光法として注目されている。さらに、3つの光コムを用いたトライコム分光法は、時間分解複素分光や非線形分光などの多次元計測が可能になる。しかし、これらの応用には、複数台の光コムの高精度同期のため、大掛かりな制御系が必要であるという実用上の課題がある。そこで本研究では、3台の光コム光源(モード同期Erファイバレーザー)のゲインファイバの同一リールへの巻き付け、空間系やファイバ部の近接配置といった機械的共有を行うことで、3つの受動的に安定な光コムを同時発生可能な機械共有型トライコムファイバレーザーを開発した。さらに、開発した光源が高速・広帯域同時分光といった多機能分光へ適用可能であることを実証した。
発表の間、分野の近い参加者と、開発したシステムの時間分解能や相対安定性の制限要因などについて活発な議論ができた。さらに、異分野の参加者とも、デュアルコム・トライコム応用の有用性などについて話し合うことができ、全体として非常に有意義な時間を過ごすことができた。
発表においては、私個人初めての海外開催の国際学会ということもあり少なからず緊張感があったが、入念に英語でのプレゼンテーションの練習を行うことで、研究成果を正確に伝えるとともに、多数の活発な議論をすることができた。この経験は、英語でのコミュニケーションへの自信に繋がると同時に、発音などの課題を自覚する良い機会となった。
また、会期中分野に関わらず様々なセッションの発表を聞くことで、自身の研究に活かせるような興味深い知見を得ることができた。企業の展示や発表においては、最新の製品について情報を得るだけでなく、産業における光技術のトレンドなどについて知ることができた。
全体を通して、様々な国の研究者と交流することができ、たくさんの刺激と知見を得ることができた。今回の学会参加で得た経験をもとに、今後も精力的に研究活動に取り組み、国際的に活躍する研究者になれるよう努力していきたい。
最後に、多大なるご援助を賜りました貴財団に厚く御礼申し上げます。