国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
村野 倫也
(芝浦工業大学 大学院理工学研究科)
会議名
29th Opto-Electronics and Communications Conference 2024 (OECC 2024)
期日
2024年6月30日~7月4日
開催地
オーストラリア、メルボルン、メルボルンコンベンション&エキシビジョンセンター

1. 国際会議の概要

Opto-Electronics and Communications Conference (OECC) は、第1回の会議が1996年に開催され、それ以降1年に1回開催される国際会議である。アジア及び環太平洋地域を主な開催地として、光エレクトロニクス及び光通信に関連する研究分野の最先端の研究成果が発表される。例年、300から500件程度の発表があり、参加人数は700名程度である。今回開催されるOECC 2024では光ファイバ及びファイバ型素子、能動光素子、受動光素子、伝送システム、光ネットワーク、量子通信・量子コンピューティングの計6テーマにおいて、プログラムが構成された。OECC 2024においても、これまでに開催された国際会議と同程度の発表件数及び参加人数が達成されているように思われる。

光ファイバ及びファイバ型光素子のセッションでは、マルチモードファイバの結合性や小型での低損失な光ファイバについてなどのテーマが取り上げられた。

2. 研究テーマと討論内容

光ファイバのコア部に周期的な屈折率変化を付与された光ファイバブラッググレーティングや屈折率変化の周期が比較的長い長周期光ファイバグレーティングは、局所的な光センシングに適したファイバ型光素子である。紫外光等の照射により光ファイバに回折格子を書き込む方法や、回折格子を機械的に光ファイバに圧着する機械的誘導方式により実効的に光ファイバ中に回折格子を発現させる方法により、光ファイバグレーティングは製作されている。機械的誘導方式による光ファイバグレーティングでは、回折格子が光ファイバに圧着された場合、回折格子の周期をもとに決定される波長において光ファイバ中を伝搬する光波がクラッドモードに結合されることで、特定の波長(共振波長)のみ実質的に光伝搬損失が増加し、スペクトルに変化が生じる。回折格子の圧着により生じるスペクトル変化を読み取ることで、圧力をはじめとして、各種情報をセンシングすることが可能となる。これまでの実験により、回折格子周期と共振波長の関係を明らかとした。また、荷重の大きさによる共振波長での光伝搬損失の変化を調べた。

これまでの長周期光ファイバグレーティングの実験では、金属製のプレート上に直接光ファイバを置き、光ファイバに対して樹脂製の回折格子を圧着していた。この場合、光ファイバ中を伝搬するコアモードからクラッドモードへの結合が強く現れ、結果として印加荷重の範囲が極めて限定的となっていた。今回、光ファイバと金属製プレートの間にバッファの役割を持つ材料を挿入することにより、印加荷重範囲の拡張を試みた。バッファ層を挿入しない場合とする場合において、長周期光ファイバグレーティング中を伝搬する光波の透過スペクトルの変化を調べた。挿入する材料として様々な媒質を用意し、構成される長周期光ファイバグレーティングの透過光スペクトルを測定した。ある特定の材料を光ファイバの下に設置することにより、印加荷重の範囲を大幅に拡張することができることを明らかにした。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

OECC 2024において、光ファイバ及びファイバ型素子の分野において、ポスターセッションで研究成果を発表した。様々な視点から質問され、何度も聞き返してしまったが、他の活用方法や研究へのアプローチを知ることができ、大変貴重な体験となった。また今回の国際会議に参加し、私自身もこの分野に携わっているということを実感できた。これらの体験を糧に研究や英語学習をより精進していこうと思った。

最後に、本報告書を通じて、一般財団法人丸文財団に多大なるご支援を賜りましたこと深く感謝申し上げます。

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