国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
黒﨑 裕介
(東京工業大学)
会議名
34th International Conference on Diamond and Carbon Materials
期日
2024年9月1日~5日
開催地
ドイツ,ドレスデン

1. 国際会議の概要

34th International Conference on Diamond and Carbon Materials会議は、ダイヤモンドや炭素系材料に関連する最新の研究、開発、そして応用に焦点を当てた学術会議です。主なテーマとして、ダイヤモンドの合成技術や特性評価、グラフェンやカーボンナノチューブなどの炭素ナノ材料の研究が挙げられ、さらに、これらの材料がエレクトロニクス、センサー、バイオメディカル分野に応用される可能性が議論されました。これらの研究は、持続可能な社会の実現に向けた重要な鍵を握っており、技術開発の進展に大きく寄与すると期待されています。この国際会議は、そうした学術的な発見や、新たな応用の可能性を探るための貴重な機会となりました。

今年はドイツのドレスデンにて、2024年9月1日~5日の計5日間にわたって開催され、次回は2025年8月31日から9月4日にスコットランドのグラスゴーで開催予定です。

2. 研究テーマと討論内容

私は本会議にて「Development of three-dimensional nano-coating technique for ta-C films with FCVA method」というタイトルでポスター発表を行いました。


ポスター発表の様子

昨今のIT技術の進歩は目覚ましく、特に半導体デバイスについては高速動作、低消費電力などの様々な性能向上に繋がる微細化技術が期待されています。本研究では、半導体の製造手法の一つであるUVナノインプリントリソグラフィで用いる石英モールドの微細加工の基礎研究として、FCVA法を用いたDLC膜の3次元ナノ成膜手法の導入を試みました。このFCVA法は、グラファイトターゲットと成膜チャンバーの間に配置された電磁フィルタによりドロップレットを除去し、70 GPa程度の硬さを持つ高品質な膜を成膜する技術です。また従来のCVD法に比べて直線的な成膜が可能であり、ナノトレンチパターンの埋め込み率が従来比で3.2倍向上しました。

本会議では、3次元ナノ空間における複雑な炭素イオンの入射挙動についての議論や、さらなる埋め込み率向上に向けた知見交換も行いました。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

国際会議に出席し、世界各国の最先端の炭素材料に関する知見を学ぶだけでなく、研究活動における英語の重要性を改めて痛感しました。様々な国から集まった研究者たちは、英語を母国語としない人も含め、皆が当たり前のように英語で高度な意思疎通を行っており、自身の英語力の不足を強く感じました。しかし、国際交流を通じて次第にコミュニケーションが取れるようになり、自分のポスター発表だけでなく、他の参加者の発表においても活発な議論を交わすことができました。その結果、語学学習へのモチベーションが高まっただけでなく、今後の研究活動に役立つ多くの知見を得ることができたため、大変有意義な経験となりました。

最後に、本国際会議への参加にあたり、多大なるご支援を賜りました貴財団に対し、心より感謝申し上げます。


ドレスデン市内の写真

令和6年度 国際交流助成受領者一覧に戻る

ページの先頭へ