SICE Festival 2024 with Annual Conference は計測自動制御学会(SICE)が主催する計測・制御分野における専門的な国際会議です。今年は日本の高知県にある高知工科大学永国寺キャンパスにて開催されました。昨年まではSICE Annual Conferenceという名前でしたが、今年度からfestivalというように変更され活発化が進められています。2024年8月27日(火)よりworkshopが、翌28日(水)~30日(金)の3日間に口頭発表やポスターセッションなどが同時に最大で9つのセッションが同時並行で開催されており、制御工学の理論とその応用、制御に必要なモデリングや計測技術などの研究発表が行われました。
次のSICE Festival 2025 with Annual conference はタイのチェンマイにて2025年9月9日(火)~12日(金)の日程で開催される予定です。
私は今回「Data-Driven State Prediction and Feedforward Controller Tuning for the Two-Degree-Of-Freedom Integral Servo Systems」という題目で発表してきました。
制御系設計において一般的に制御したい対象(機械・電気・化学・生物・経済問わず)の動特性を微分方程式などを用いて数理モデルとして表現し、そのモデルに基づき制御システムを設計します。しかしながらモデル化には誤差が必ず生じ、その誤差が設計した制御システムへ大きな悪影響を及ぼすことがあります。そこで制御したい対象から観測した入出力の時系列信号を用いて制御システムの設計や調整を考える「データ駆動制御」があります。データ駆動制御はモデルを用いないことから制御システムの設計や調整にかかる実験や計算、時間など多くのコストを削減することができます。しかしながら設計した制御システムの動特性が稼働させるまでわからないという問題があります。この問題に対して「データ駆動予測」という動特性の予測に基づいた解析方法が提案されています。
本研究ではデータ駆動予測の観点から、二自由度積分型サーボシステムに対するデータ駆動型の状態量の予測とそれを応用した制御システムの設計方法を提案、報告しました。提案法により、制御システムの入出力だけでなく、システムの内部状態量まで予測することが可能となり、予測と設計において双方の自由度を広げることができました。
本会議は4日間の開催で口頭発表とポスターセッション、講演、企業展示などがありました。口頭発表では強化学習などをはじめとする各種学習理論と従来の制御理論の組み合わせに関する研究が多くみられ、制御分野が大きな転換点にあると感じました。また、制御理論の将来に関する講演など興味深い内容の講演があり大変勉強になりました。8月30日(金)は台風10号の影響により一部のオンラインイベントを除き通常セッションは中止となってしまいましたが、本会議に参加できたことは大変貴重な経験となりました。
最後に、本会議の参加にあたり貴財団に多大なるご支援をいただきましたこと、心より感謝いたします。