国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和6年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
阿部 柚佳
(東北大学 工学研究科 材料システム工学専攻)
会議名
The 7th International Conference on the Physics of Optical Materials &
The 4th International Conference on Phosphor Thermometry (ICOM2024, ICPT2024)
期日
2024年8月26日~30日
開催地
モンテネグロ

1. 国際会議の概要


学会会場内の看板

The 7th International Conference on the Physics of Optical Materials & The 4th International Conference on Phosphor Thermometry (ICOM2024, ICPT2024)は、あらゆる蛍光材料および蛍光温度計に焦点を当てた2つの国際会議がモンテネグロのブドヴァにて同時に開催された。光学材料の合成方法や特性評価、測定技術開発、生物医学における応用研究などをテーマとし、最新技術や温度計測の様々な側面についての報告がテーマとなっている。

初日には著名な方々の招待講演を始めとし、蛍光温度計に関するセッションが数多く開かれた。夜にはWelcome Partyが行われ、世界中からの参加者との交流を図る機会が設けられていた。本会議は3つのセクションが同時に開かれ、蛍光温度計のみならず、シンチレータ材料や残光材料など、幅広い蛍光材料についての発表が行われ、様々な観点からの深い議論がなされていた。8月26日から30日まで、のべ30の国から172人の参加者により、105件の口頭発表および69件のポスター発表が行われた。

2. 研究テーマと討論内容


口頭発表の様子

本会議において、私は「Temperature dependence of luminescence characteristics for (Y, Lu, Sc)2O3 single crystal」という題目で口頭発表を行った。

温度計測は科学や産業、農業において不可欠な計測であり、根幹をなす基礎要素である。従来の熱電対や放射温度計は、高圧、強電磁場などの過酷な環境下での計測には不適、ないし精度に難がある等の課題を有している。そのため、特殊な環境下での温度測定に向けた、蛍光温度計の開発に着目した。蛍光温度計の応用分野の拡大には、有効検出温度範囲の拡大や検出感度の向上が重要である。そこで本研究では、異なる温度特性を示す2つのランタノイドイオンおよび、熱安定性に優れている母材を用いて新規材料の開発、評価を行った。透明体の単結晶育成に成功し、さらに温度特性評価の結果、本材料が蛍光温度計として有望な材料であることが明らかとなった。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本会議は蛍光材料の中でも、自身の研究テーマである蛍光温度計に関する研究発表が多く、大変実りある5日間を過ごすことができた。特に、蛍光温度計の研究において第一線で活躍されている研究者の方々に実際にお会いし、意見交換をできたことは今後の研究活動に生きてくる貴重な機会となった。発表の合間にあるコーヒーブレイクにおいては、発表を聞いて疑問に思った部分や研究方法等について、積極的に質問および議論をすることができた。ポーランドやドイツ、アメリカから参加していた女性研究者の方とも交流する機会があり、自身の研究について説明したり、質問に答えたりと、普段なかなか得ることのできない機会を経験できた。活躍されている女性研究者の方々との交流は、自身に様々な刺激をもたらし、今後の研究活動における活力になると確信している。加えて、非常に小さな研究にも意味があり、それがどこかで大きな成果へとつながるというお話を聞き、研究に行き詰ったときや可能性を見出せなくなった際に、この考え方を大事にしたいと感じた。

5日間の本会議を通して、蛍光温度計の研究に対し、これまでとは異なる側面や視点があることを学ぶことができ、自身の研究の幅を広げる一歩につながったと感じている。さらに、蛍光温度計以外にも様々な蛍光材料があることを知り、ますます蛍光材料の研究に興味を抱いた。加えて、世界中の研究者との交流を経て、わずかながら研究者として成長することができたのではないかと感じている。今後も研究成果を世界に発信することができるよう、研究活動に邁進していきたいと考えている。

最後に、本国際会議への参加にあたりご支援をいただきました、一般財団法人丸文財団に心より感謝申し上げます。

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