国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
吉田 怜史
(大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻)
会議名
SPIE Photonics West 2024
期日
2024年1月27日~2月1日
開催地
The Moscone Center, San Francisco, California, USA

1. 国際会議の概要

Photonics West 2024は、SPIEが主催する光科学および光技術に関する世界最大級の国際会議であり、2024年1月27日から2月2日にアメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターで開催された。

本会議は、「バイオメディカルに関する会議 (BiOS) 」、「レーザに関する会議 (LASE) 」、「オプトエレクトロニクスに関する会議 (OPTO) 」、「量子応用技術に関する会議 (Quantum West) 」の4つに分かれており、講演数は5,000件以上であった。会議のほかに、「Photonics West Exhibition」、「BiOS Expo」、「Quantum West Expo」、「AR|VR|MR Exhibition」の4つの展示会が併設されており、1,500社以上の企業が光学に関する最先端の製品を展示していた。著者は1月30日に開催された「Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing (LAMOM) XXIX」に出席し、ポスター発表を行った。

次回Photonics West 2025は2025年1月25日から1月30日に本年度と同じアメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターで開催予定である。


モスコーニセンター内SPIEモニュメント

ウェルカムレセプションの様子

2. 研究テーマと討論内容


ポスター発表の様子

著者は「Formation of a low-dilution pure copper layer by wire-based laser metal deposition with blue diode laser」と題し、ポスター発表を行った。純銅は優れた熱伝導性や超抗菌性を有するが、強度が低い。そこで異種材料表面へコーティングすることで銅の優れた特性を付与することができる。しかし従来のコーティング技術は接合強度が低い。そこで接合強度の高いワイヤ型レーザ金属堆積法(W-LMD)に着目した。本手法はレーザを照射して金属ワイヤを溶融・凝固させることで皮膜を形成する。従来のW-LMDシステムでは純銅の光吸収率が低い近赤外線レーザを使用していたため、純銅コーティングは困難であった。本研究では、純銅に対して光吸収率が高い青色半導体レーザを用いたW-LMDシステムを世界に先駆けて開発し、純銅皮膜を形成した。その結果、開発したW-LMDシステムを用いて22µmの希釈層で接合された高品質な純銅皮膜を従来法よりも高い材料収率かつ高いエネルギー効率で形成できることを明らかにした。

発表では希釈層の厚さと接合強度の関係についての質問を受けた。そこで私は以前に行った引張試験の結果から、希釈層が厚いと接合強度は高くなるが、純銅の特性を損ない品質が低下すると回答した。加工品質と強度とのトレードオフを解消するために研究展開について議論した。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

私は海外で開催される国際会議に初めて参加して発表することができた。ポスター発表では海外の研究者の方々から様々な質問やコメントを受けた。難しい専門用語が多く聞き取れないこともあったが、聞き取れる単語から質問の内容を考えて議論することで、研究内容に関して再度深く考えさせられ、課題を明確にすることができた。幸運にも、Best Student Poster Awardを受賞することができた。


受賞の様子

会議では高出力レーザやアディティブマニュファクチャリングに関する講演を聴講した。最新の研究成果や研究の動向を知り得ることができ、自身の視野を広げることができた。ドイツやアメリカの同学年の学生の講演では、同じ学生とは思えないような素晴らしい研究成果を挙げており、良い刺激を受けることができた。併設された展示会では研究で用いる光学部品メーカーのブースを訪問した。該社の社長や技術者の方々と光学部品について議論することができ、国際会議ならではの貴重な交流をすることができ、強く印象に残った。国際会議は成果発表だけでなく動向調査や世界の方々と議論を交わすことで、新しい課題や多角的な視点を養える貴重な機会になった。

最後に、この度の国際会議の出席にあたり、貴財団よりご援助を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。

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