本共同研究では、新奇二次元材料インクによるフレキシブル赤外光検出素子の開発を目指していた。
今回の滞在では、セットアップの立ち上げからインクの塗布と形状確認まで目的を達成したが、デバイスの応用は未達成である。
黒リンをはじめ、赤外光(1000 - 4000nm)を吸収する無機二次元材料を大面積な光検出素子の活性層として作製するために、大面積(ピクセル>10×10mm2)プロセスに適応した形にする。本研究では、二次元材料を超音波処理によるピーリングを通じインク状にする。具体的に、黒リン(black phosphorus, BP)という中赤外光の吸収・発光材料を用いた。これとOleylamine(OA)などのポリマーと混合させる。OAとの混合を通じ、低シート抵抗、向上したフレキシブル性、大気安定性の効果が期待できる。インクの溶媒とOAの混合率を最適化する。
【成果発表】
[1] T.J. Wijaya, H.M. Kim, S. Wang, N. Higashitarumizu, A. Javey, “High-Efficiency Ink-Based Mid-IR LEDs and Photodetectors,” Berkeley Sensor & Actuator Center (BSAC) 2024 Spring Conference, Berkeley, USA, (2023.3). (Poster)
【研究成果】
黒リンによる中赤外フォトダイオードのプロセスを高いイールドのプロセスで実現した。所属の東京大学染谷研究室の有機デバイスの知見を活かして、図1(a)の縦構造デバイスに用いた各機能層を最適化し、フォトディテクターを作成していた。図1(b)のように電流・電圧特性も確認できました。
【コミュニケーション・国際交流】
滞在期間中において、積極的に共同研究先のJavey研究室のみならず、関連分野で活躍する同学同専攻のArias研究室にも研究室ミーティングに参加し多数のフィードバックを分かち合うことで、バークレー校EECSでの人脈を広げることにつとめた。共同研究で出会った先生と友達は図2で示された。