2023年8月13日から2023年8月18日まで、アメリカ合衆国アリゾナ州ツーソンで開催された23rd American Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ACCGE-23) and 21st US Workshop on Organometallic Vapor Phase Epitaxy (OMVPE-21)へ参加し、研究発表を行った。会場はThe Westin La Paloma Resort & Spaで行われた。
本会議は、結晶成長に関する国際会議であり、バルク材料からナノ材料、基礎研究から特性評価、モデリングから装置設計までと幅広く議論が行われた。
23rd American Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ACCGE-23)では、エピタキシャル薄膜およびバルク結晶成長のあらゆる側面における最近の研究開発活動を発表し、議論する場を提供している。セッションは、基礎、実験および工業的成長プロセス、特性評価、応用に分かれている。
21st US Workshop on Organometallic Vapor Phase Epitaxy (OMVPE-21)では、OMVPE分野の新しい成果を発表し、議論する場を提供している。
1回の登録料で、ACCGE-23、OMVPE-21、および全シンポジウムに参加が可能である。
会議においては、ACCGE-23の特性評価のセッションに参加し、対面でポスター発表を行った。
本研究では、ScAlMgO4基板上GaN薄膜のTHz-TDSEによる非接触・非破壊電気特性評価技術の開発を目標にしている。ScAlMgO4(SAM)は、窒化ガリウム(GaN)の成長用基板として注目されている。我々のグループではRF-MBE法によりSAM基板上に1µm程度のGaN薄膜をテンプレートとして成長し、その上にmmオーダー厚さのGaNをHVPE成長することによるGaN自立基板の作製を目指している。このうち、RF-MBE成長した薄膜テンプレートの非破壊・非接触特性評価手法としてテラヘルツ時間領域分光エリプソメトリ(Terahertz Time-Domain Spectroscopic Ellipsometry; THz-TDSE)を提案している。THz-TDSE は、THz波の反射による偏光状態の変化を表すエリプソリックパラメータのtanΨとΔを解析モデルとフィッティングすることで試料の膜厚と電気特性(抵抗率・キャリア密度・移動度)を解析する手法である。我々はこれまで、厚さ3µm程のGaN膜に対して、電気特性と膜厚を同時に決定できることを示している。そして、1µm厚さ程度のGaN膜では膜厚を固定すると電気特性値が得られた。しかし、膜厚をフィッティングパラメータに加えると複数の最適解があり、一意に求めることが困難なことが分かった。
そこで今回は、電気特性と膜厚を一度に精度よく求めるために、特性インピーダンスを用いたモデル(CIモデル)の適用を検討した。
今回は初めてのポスター発表ということもあり緊張していたが、自分の主張したいことや考えなどが相手に伝えることができ大きな達成感を味わうことができた。質疑応答では、従来のエリプソメトリとどう違うのかが説明不足であったことが分かり今後の活かしたいと感じた。今回の経験により英語発表への自信がつき、今後国際会議などがあれば積極的に参加していこうと感じた。