国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
塚本 真彩
(徳島大学 創成科学研究科 理工学専攻)
会議名
SPIE Optics + Photonics 2023
期日
2023年8月20日~24日
開催地
Convention Center, San Diego, California, USA

1. 国際会議の概要

この度、令和5年度丸文財団国際交流助成による支援を受け、2023年8月20日から8月24日の間、SPIE Optics + Photonicsに参加し、自身の研究について口頭発表を行った。

SPIE Optics + Photonicsは、SPIE Photonics Westと並び、光工学分野で最高峰の国際学会である。毎年、アメリカのサンディエゴで開催され、48のトピックで2,000件以上の発表と最新の技術成果を共有することができる、重要な会議である。

その中で、口頭発表を行うことで、自身の研究のアピールをするだけでなく、研究を発展させるための議論や、自身の研究者としてのネットワークを広げることが可能であることから、参加することにした。

非常に多くの国から参加者がサンディエゴに集っており、発表の場のみならず、ドリンクスペースや会場内の休憩所等で、活発な交流や意見交換をすることができたと感じている。


会場の外観(Convention Center)

サンディエゴの街並み

2. 研究テーマと討論内容

私の研究題目は「Coupling structures between Nb2O5 and plasmonic waveguide for high-speed and wide-steering angle optical phased array」であり、高速かつ広偏向な光フェーズドアレイを実現するための、五酸化ニオブ導波路とプラズモニック導波路の結合構造を提案について、発表した。


発表中の写真

光フェーズドアレイ(OPA)は、低消費電力でかつ機械的な可動部を持たず、位相変調により任意の方向/形状の光ビームを得られる偏向制御デバイスである。主にLiDARや自由空間データ通信などでの応用が期待されている。

近年報告されている光導波路構造を用いたOPAの一例では、外部電界によって屈折率が変化する電気光学効果を用いて光ビームを制御する。

しかしOPAの偏向角はアンテナピッチに依存するが、一般的なOPAは、導波路間のクロストークを避けるため、ピッチを波長以下にすることができない。ゆえに偏向角が狭くなる。ここでナノスケールに光を閉じ込めることができるプラズモニック導波路(PWG)を用いることで、クロストークの影響が少なくできることから、アンテナピッチ間を狭めることができ、偏向角の広角化が期待できると考えた。

しかしPWGは金属の吸収損失が大きいため、誘電体導波路と比較して長距離伝搬が困難である。したがって、OPAのアンテナ部分にのみPWGを利用し、その他の部分はNb2O5を用いた誘電体導波路を利用する構造を有限要素法(FEM)を用いて提案し、その結果を今回発表した。

発表を通して、今後研究を進める上で有益な質問や意見をいくつかいただいた。これからの課題が改めて明確化されたことから、今後の研究を進めていくにあたって、大変有意義な時間であったと考えている。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

本国際会議では、現地開催ということで、多くの議論と交流を交わすことができた。発表後にも、他国参加者と英語で意見を交わし、英語の重要性を痛感した。自身の研究の位置づけや、発展性について、また検討を行った方が良い箇所の指導等、貴重な意見をいただいた。国際的に研究ネットワークを広げることができ、大変貴重な経験を得ることができた。

今後、このネットワークを有効に活用していきたいと思う。

最後に、この度国際会議参加にあたり、貴財団から多大なる支援を賜り、非常に貴重で学びのある体験をさせていただきましたこと、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

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