国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
辻 康介
(大阪大学 工学研究科 物理学系専攻)
会議名
SPIE Photonics West 2024
期日
2024年1月27日~2月1日
開催地
The Moscone Center, San Francisco, California, USA

1. 国際会議の概要

SPIEは、光学に関する世界最大級の国際学会です。分野ごとにBiOS 、LASE、OPTO、Quantum Westの4つの学会で構成されます。その中でもバイオメディカルに関する学会であるBiOSに参加しました。BiOSは、毎年サンフランシスコで開催され、今年は2,000件以上の発表がありました。私の研究分野であるバイオイメージングについてもさまざまな発表がありました。

2. 研究テーマと討論内容


発表の様子

細胞内カルシウムイオン分布の定量計測が可能なクライオ光学顕微鏡について報告しました。細胞内カルシウムイオンは、心筋細胞の拍動や神経伝達物質の放出など、さまざまな生命機能において重要な役割を担っています。しかし、カルシウムイオンの空間分布はミリ秒から数ミリ秒程度で高速に変動するため、十分な信号量が得られず、カルシウムイオン濃度を定量性高く計測することは困難です。我々は、細胞を急速凍結し、十分な信号量が得られるまで露光時間を長くすることで、定量性の高い計測が可能なクライオ光学顕微鏡を開発しました。細胞の急速凍結を顕微鏡観察下で行うことで、カルシウムイオン動態がどのタイミング・どの状態で固定されたかという時間情報の取得も可能としました。

本発表では、開発したクライオ光学顕微鏡を用いて、心筋細胞内のカルシウム動態を顕微鏡観察下で急速凍結し、カルシウムイオン分布が固定されることを報告しました。また、FRETセンサを用いた凍結細胞内カルシウムイオン分布の定量計測や、ラマン顕微鏡と超解像蛍光顕微鏡によるマルチモーダルイメージングについても報告しました。質疑では、凍結前後での顕微鏡像の違いについて議論しました。凍結下での分子の状態や蛍光プローブの光学特性については未知の部分が多くあるため、今後、検証する必要があると考えています。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

私の研究分野であるバイオイメージングについてのセッションが数多くあり、非常に勉強になりました。共同研究先の研究者とも直接議論する機会があり、有意義な時間を過ごすことができました。また、本学会で学生やポスドクの方と知り合うことができ、貴重な経験となりました。普段から英語を使う機会があるものの、英語での質疑やリスニングには苦労したので、より一層英語学習に励もうと思いました。

今回の国際会議への参加にあたり、多大なご支援を賜りました貴財団に、心より感謝申し上げます。

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