2023 IEEE International Ultrasonics SymposiumはIEEEが主催する国際会議であり、医用超音波、非破壊検査、超音波物性・材料・デバイスなど超音波に関するあらゆるテーマを取り扱う、超音波工学の分野では世界最大級の研究集会である。本会議は毎年開催されており、今年はカナダのモントリオールで9月3日~9月8日の計6日間開催され、526件のオーラル発表、677件のポスター発表が行われた。来年は台北で9月22日~9月26日の計5日間開催される。
“Frequency dispersion characteristic of shear wave speed in viscoelastic phantom measured by mechanical burst excitation shear wave elastography”という題目でポスター発表を行った。
本研究はウイルス、アルコール、脂肪などの影響により肝臓全体に変化をきたす、びまん性肝疾患の診断を目的としている。疾患の進行による肝硬変・肝臓がんが原因で、国内では年間3万人以上が命を落としている。
びまん性肝疾患の診断に利用されるせん断波伝搬速度による肝硬度計測手法shear wave elastography (SWE) は、非侵襲・定量的であることから広く普及している。しかしながら、肝臓の不均質な構造によるせん断波の屈折・回折、肝臓の粘性により計測されるせん断波伝搬速度と肝硬度の対応関係が一致しない場合がある。そこで本研究では、せん断波の可視化および、粘性によるせん断波伝搬速度の周波数分散性を評価するため「機械的バースト加振 (MBE) SWE」を提案している。
今回の発表では、肝臓を模擬した均質な高分子ゲルファントムを用いてせん断波の可視化および、せん断波伝搬速度の周波数分散性を評価した結果を報告した。
ポスター発表では言語の壁を感じたが、拙い英語でもジェスチャーを交えながら粘り強く話すことで何とか相手に伝えることができた。しかし、自身の研究を正確に伝え、疑問に答えるためには英語力の向上が必要だと改めて痛感した。
国際会議に初めて出席し、ポスター発表のみではなく、レセプションパーティー、ガラディナーなど様々なイベントがあることに驚いた。イベントでは同年代の研究者、様々な大学の先生方と交流を行うことで、自分自身の視野を広げることができた。来年度も同様に発表する機会をいただけるよう、より一層努力する。
最後に、本国際学会の参加にあたり、一般財団法人丸文財団に多大なるご支援をいただきましたこと厚く御礼申し上げます。