Graphene Weekは200人以上の産業および学術関係者に関連する専門家から最新のイノベーションと先端技術、グラフェンや2次元電子系物質に関する研究を結集させる主要な国際会議である。会議はEuropean CommissionのGraphene Flagshipが主催している。
Graphene Weekでは、世界中から多くの世界的な科学者が基調講演者として招かれ、ワークショップ、フォーラム、一般口頭発表の3個のセッションが同時に行われる。学生や若手研究者向けのポスターセッションも行われる。また、グラフェンと2次元材料に関する最新研究や最新のグラフェン製品に関する情報が提供される。
2023年には37か国から490名の参加者、205名の発表者が参加した。
“Colossal quantum Hall photo-thermoelectric response in inner contacted graphene coupled to optical cavity”という題目で口頭発表を行った。
研究テーマ
ランダウ量子化グラフェンはその特別なサイクロトロン共鳴により、1個のグラフェンデバイスでもブロードバンド吸収が可能である。現在は赤外光領域での高感度のグラフェン検出器が存在しないため、高感度のグラフェン赤外光検出器を実現することを目標としている。
本研究では内部電極構造と光学共振器を用いて従来のグラフェンデバイスよりその感度の増大を達成した。本研究結果はその優れた赤外光検出性能を示しており、ランダウ量子化グラフェンを基にした光デバイスの実現に向けて重要な洞察を提供している。
討論内容
反応速度、他の検出器との比較条件、信号の形、共振器表面の平坦度などの質問を受けた。発表では主に感度の増大に焦点を当てたが、質疑応答の時間には、各分野の研究者から感度以外のどのポイントに興味があるのか理解する機会となった。以外にも感度計算のやり方とレーザーパワーによる信号の変化に関する質問があり、様々な内容について討論した。
多様な分野の研究者が参加し、同じ研究においても異なる視点からの意見を聞くことができて新しいアイディアを生み出す機会となった。今回得られた経験は今後の研究活動における私の成長に寄与すると信じている。
本国際会議には研究室から一人で参加して、大きな会場で口頭発表を行った状況において心理的な圧迫があり緊張感も多かったが、それにもかかわらず、発表後に多くの研究者からのフィードバックや質問がありその討論を通じてさらに成長できる貴重な機会を得られた。
また、本国際会議への参加によりコミュニケーション能力が向上された。日本での日常生活では研究に関して英語でコミュニケーションする機会が少なかったが、本学会では世界の様々な国からの研究者と話すことができて多様な人の研究背景や国、文化などにより研究を捉える観点に関して理解することができた。
本国際会議への参加にあたり、貴財団より多大なご支援いただきまして心より御礼を申し上げます。