Micro and Nano Engineering Conference (MNE) は1975年に始まった会議であり、今回で49回目を迎える、マイクロ・ナノ工学に関する国際会議である。主なトピックは、ナノ・マイクロファブリケーションの製造技術や加工プロセス、ナノ・マイクロ構造やデバイス、システムの作製や構築、ナノ・マイクロエンジニアリングのライフサイエンスへの応用、ナノ・マイクロエンジニアリングの物理的・化学的な応用の4つである。
“Synchronous vibration of 1×2 torsional micromirror array”というタイトルでポスターセッションに参加した。
MEMSトーションミラーは、微小な鏡が2本の支持梁に支えられ、梁がねじれ振動することで入射光の反射角を連続的に変化させるデバイスで、内視鏡や距離画像センサ(Lidar)、そしてレーザープロジェクターに代表される空間走査システム小型化の鍵として高性能化が求められている。空間走査システムの高解像度・高速走査・広走査角化にはミラーの大反射面積・高周波振動・大振れ角振幅が必要だが、支持梁のひずみの増大、慣性力による鏡面の動的変形、そして大反射面積と高速振動が両立困難であることなどの機械的な制約により、同時実現が困難である。この問題を解決するため我々は細線化ねじれ梁を有する小型ミラーをアレイ配置する手法を提案している。支持梁の細線化により支持梁のひずみを低減し、ミラー小型化により鏡面の動的変形を抑え、アレイ配置により大反射面積を実現する。この提案手法の課題はアレイ配置したミラー同士の振動振幅、位相をそろえる、すなわち同期駆動である。そこで、新たに駆動電圧振幅、位相の調整による同期振動させる手法を提案し、ミラーを2つ並べたミラーアレイの同期振動を実証した。
発表には10名ほどの聴講者が訪れ、質問を交えた議論を交わした。多くのミラーを1つのミラーとして用いる手法に関心を持っていただき、同期手法や配列要素数の増加に関して踏み込んだ議論を行うことができた。会場閉設までポスターを見ていただくことができた。
ナノ・マイクロファブリケーションを主とする学会ということもあり、フォトニクスやメタマテリアル、ナノインプリント、SiCを用いたMEMSデバイス作製など、微細加工を用いる幅広い分野の動向を知ることができた。国際学会で得た知識を今後の研究生活に生かしたい。
9月25日には学会参加者の晩餐会があり、ドイツの様々な企業の方々と英語で交流することができた。
9月27日のポスター発表では、長時間英語で議論を交わすことができ、英語力の向上を感じることができた。ポスターセッション開始前には隣の発表者と互いの研究について英語で議論を交わし、緊張をほぐすことができた。同日の夜にはバンケットが開催され、自分のポスターに訪れてくださった方々と交流を深めることができた。