International Conference on Magnet Technologyは、2年に1回開催されるマグネット(磁石)とその関連技術をテーマにした国際会議である。本会議では、核融合、高磁場マグネット、超電導材料、超電導応用、医療機器など多岐にわたる分野において発表があり、現在の進捗や将来に向けた課題について、活発な議論が行われた。
本年は、フランス、エクス=アン=プロヴァンスにて、9月10日(日)から9月15日(金)の6日間にわたって開催された。また、前回はCOVID-19による影響でハイブリッド開催であったが、4年ぶりに完全対面での開催となり、世界各国から研究者が集い、大変賑やかであった。
次回は、2025年にアメリカ マサチューセッツ州 ボストンにて開催予定である。
本研究は、実用化されている磁気浮上システムとは異なる新たな磁気浮上方式として、高温超電導(High Temperature Superconductor, HTS)バルクの磁気遮蔽効果を用いた電磁吸引支持方式による浮上システムを提案している。我々の浮上方式では、軌道側に強磁性体レールのみを使用し、車体側に浮上ユニット(HTSバルク・HTS円形コイル)を用いる。この浮上システムは、HTSバルクの磁気遮蔽効果および磁気吸引力によって浮上するため、制御するシステムを必要とせずに静止状態、走行状態で安定した浮上を実現することができる。
私は本会議で「Guidance Force Properties of Attractive Magnetic Levitation System using HTS Bulk」という題目でポスター発表を行った。磁気浮上システムの安定性の一つとして、車体が軌道を外れるような横方向に移動した際に車体を元の位置に戻す方向の復元力を働かせる必要がある。そこで、三次元有限要素法ソフトCOMSOL Multiphysics®を用いて、HTSバルクの磁気遮蔽効果によって横方向に復元力を発生させる解析モデルを作成し、本浮上システムにおける横方向の安定性について評価した。加えて、横方向の復元力と浮上方向の浮上力について数値解析を行い、横方向と浮上方向の安定性の両立について評価を行った。
本発表では、1時間45分という短い時間であったが、海外の研究者および日本国内から参加した研究者、大学教授らと自身の研究内容について濃密な議論を行うことができた。特に海外の研究者との議論では、研究内容について1から説明し、英語で討論することができた。前回の国際会議に参加した際に反省として掲げていた、「研究概要を分かりやすく相手に説明する」ということを本会議では実践することができたと感じている。また、多くの質問やアドバイスをいただき、自身の研究内容についてより深く理解することができた。さらに、他の研究発表も聴講し、似たような研究を行っている方に話を聞くことによって、多くの貴重な議論を交わすことができたことは非常に良い経験になったと感じた。
フランスでの生活は、英語が通じる場面が少なく事前にフランス語を少しでも勉強していけばよかったと感じた。特にローカルな店で買い物をする際には、フランス語しか通じなかったので、翻訳アプリなどを通してコミュニケーションを取ることを心がけた。
最後に、本会議への参加にあたって多大なご支援を受け賜りました貴財団に心より感謝申し上げます。