国際交流助成受領者/国際会議参加レポート

令和5年度 国際交流助成受領者による国際会議参加レポート

受領・参加者名
長谷 龍一
(金沢大学 医薬保健学総合研究科)
会議名
37th Computer Assisted Radiology and Surgery (CARS2023)
期日
2023年6月20日~23日
開催地
Munich, Germany

1. 国際会議の概要

1983年に設立されたCARSはコンピュータ支援技術を用いた放射線学と外科学に関する国際会議で、世界中から専門の研究者・エンジニア・医者が集まります。本会議では現代医学および画像情報学分野を牽引する重要な技術革新に関する発表や議論が行われる。本年はドイツ、ミュンヘンで開催であったが、来年はスペイン、バルセロナで開催される予定だ。

2. 研究テーマと討論内容

私は「Computer Assisted Radiology」のポスターセッションにおいて「Deep learning-based mediastinum suppression technique to evaluate pleural invasion in lung cancer on dynamic chest radiography」という題でポスター発表を行った。

発表の様子

近年開発された胸部X線動態撮影 (Dynamic Chest Radiography : DCR) は、通常の胸部X線撮影と同程度の被ばく線量で呼吸時の運動情報に基づいた機能解析や、肺がんの浸潤・癒着箇所を評価可能な革新的な撮影法である。これにより、肺機能評価や肺野内の動き評価が可能となったため、動きが制限される癒着箇所や浸潤箇所を推定することができ、肺がんの術前・術後評価への用途も期待されている。しかし、縦隔臓器の陰影が影響して、標的となる肺がんの追跡は困難である。そこで腫瘍の視認性を向上させるために、近年医療分野に応用されている人工知能(AI)を応用して縦隔陰影低減技術の開発に着手した。今回は、仮想人体ファントムを用いて、模擬腫瘤の動態追跡における本技術の有用性の評価に関する報告を行った。

3. 国際会議に出席した成果
(コミュニケーション・国際交流・感想)

私は国外で行う国際学会は初めてだったのに加えて、研究室から唯一の参加だったため、かなり不安であった。しかし、せっかくの貴重な機会を与えていただいたので、拙い英語でも積極的に質問や意見交流に取り組んだ。多くの方が私のペースに合わせて丁寧に質疑応答に対応してくださったので、多くの貴重な意見をいただくことができた。また自身の研究についても医用工学系の研究者や開発者の方から質問やアドバイスをいただき、新たな気づきがあっただけでなく、さらに研究を深めようというモチベーションにもつながった。しかし、より専門的で具体的な議論を交わし、より多くの知見を得るためにも更なる自己研磨に励まなければならないと感じた。

最後に、本会議への参加にあたってご支援いただいた貴財団に心より感謝申し上げます。

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