SPIE Photonics Westは1995年以来毎年開催されている世界最大のフォトニクス技術イベントです。今年は生物医学光学、バイオフォトニクス、産業用レーザー、オプトエレクトロニクス、微細加工、MOEMS-MEMS (Micro Opto Electro Mechanical Systems-Micro Electro Mechanical Systems)、ディスプレイ、量子技術などの最先端の研究に関する100のカンファレンスと、4つの巨大な展示会(BiOS, LASE, OPTO, Quantum West)から構成されて開催されました。またカンファレンスでは約5,000件の技術プレゼンテーションが発表されました。
私は「Image Quality Improvement of Reconstructed Data Page Pattern by Using Volume Holographic Optical Element」というテーマでポスター発表を行いました。
近年、映像技術の高解像度化が進んでおりそれに伴い、必要なデータ容量も年々増加しているという背景のもと次世代のメモリとして期待されるホログラフィックデータストレージの研究を行っていました。ホログラフィックデータストレージは長寿命、高密度、大容量のデータストレージとして期待されている一方で、画素間クロストークノイズやページ間クロストークノイズにより記録密度をさらに高めることが難しく、実用化には多くの課題を抱えている。より高密度を達成するには、クロストークの分離が必須であり、この研究では体積ホログラフィック光学素子 (VHOE) を使用したピクセル間クロストーク分離について検討を行いました。VHOEを作製するために、厚さ5mmのフォトポリマーを感光性材料として使用する。波長405nmの半導体レーザーからのビームを2つのビームに分割し、空間光変調器 (SLM) を使用してビームをデータピクセルパターンに変調し、2つのビームの干渉縞をフォトポリマー上に露光しました。VHOEはSLM上でパターンの位置をずらし、それに対応して別のビームの入射角を変化させ、数回露光を行って作製した。ピクセル間クロストークの分離は、シミュレートされた再構成データページパターンを使用して検討しました。シミュレートされた再構成データページパターンはSLMを使用して生成され、作製したVHOEにそのパターンを照射し、回折光を観測する事で分離性能を評価しました。その調査結果を今回参加した国際会議にてポスター発表という形で報告しました。
今回の国際会議に参加し、国内での学会参加では得られない経験をすることができました。同分野の研究を行っている方との交流や、最先端の研究発表の聴講などを通して、研究に対する知見・意欲ともに格段に大きくなったと感じています。
また国際学会でのそういった経験の中には必ず英語でのコミュニケーションを孕むため、自身の語学力の課題発見や言語習得へのモチベーションにもつながる経験になりました。
さらには同会議に参加した日本人学生や教授の方達との交流も図ることができ、非常に実りある国際会議になったと感じました。
今後は国際会議によって得られた知見や経験を、研究室に持ち帰り共有し、研究室全体で研究活動への意欲を向上させたいと考えています。
最後となりますが、本学会の参加にあたり、貴財団に多大なるご支援をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。