World Conference on Carbonは毎年開催される、炭素材料分野の国際学会である。今回の開催地はメキシコ・カンクンであり、70年ぶりにメキシコで、2023年7月16日から7月21日までの6日間で行われた。カンクンは、メキシコ南東部のカリブ海沿岸、ユカタン半島の先端に位置する都市で、数多くのマヤ文明後古典期の遺跡や透き通った海水などで世界的に知名度が高い街である。
学会では世界各国の研究者が一堂に会し、口頭発表や講演、ポスター発表等が行われ、活発な議論が多く見られた。学術コミュニティと友情の絆が強化し、研究者同士の交流を深めるイベントも連日開催された。
<発表タイトル>
Mg(NO3)2-assisted solvent-free soft template synthesis of ordered mesoporous carbons and their electric double-layer capacitance property
<討論内容>
規則性メソポーラスカーボンとは、規則的に配列した均一な細孔を持つカーボンのことである。その特徴として、比表面積・細孔容積が大きい、耐薬品性・機械的安定性をもつ、導電性を示す、といったことが挙げられるため、新規の触媒担体・電極材料・燃料電池等への応用が期待されている。近年、規則性メソポーラスカーボンの合成法として、無溶媒条件下における有機鋳型法が注目を集めている。さらに、蓄電システムとして、電気二重層キャパシタが注目されている。
本研究は、無溶媒合成法に無機塩を添加することで、有機鋳型であるF127の自己組織化を促進し、複合体の安定化により、メソ構造の規則性を向上させた。これにより、無溶媒法で合成した規則性メソポーラスカーボンの大幅な規則性向上と電気二重層の高容量化に成功した。
この国際学会を通し、世界中の同じ分野の研究者たちと交流できたことが大変良い経験となった。世界中の研究者のポスター発表や口頭発表を聞くことができ、研究に関する視野が広がった。日本人の研究者が少ない学会であったため、研究内容についての議論を英語で行い英語能力が磨けた。また、今回の学会では自分から進んで研究者の方々と討論を始めることが多く、コミュニケーションの能力も上達した。
最後に、ご援助を賜りました貴財団に厚く御礼申し上げます。