この度、13th European Conference on Non-Destructive Testing (ECNDT) に参加し、研究発表を行った。ECNDTは多くの非破壊検査関係者(アカデミア、検査会社、認定試験所、メーカー等)を結び付け、経済分野としての重要性とその活動と競争力の多様性を示すものである。欧州及び世界の研究と技術革新の最先端に触れることのできる絶好の機会の1つである。研究開発の最新の進展だけではなく、産業分野での応用も含まれており、実際に使用されている機器の展示会なども行われた。
“Reliability Analysis of Pipe Wall Thinning based on Quantification of Ultrasonic Testing”という題目で口頭発表を行った。
配管破断などの事故を防止するためには、配管肉厚を非破壊検査し余寿命を予測する必要がある。一方、非破壊検査で得られる信号は様々な要因を受けるため、肉厚評価には不確かさが生じる。この不確かさは配管の信頼性評価に大きな影響を及ぼすため無視することはできない。したがって、非破壊検査の不確かさを考慮した合理的な減肉管理手法を開発することが重要である。
本研究では配管減肉評価の不確かさを考慮した配管減肉予測モデルを開発し、超音波肉厚評価試験への適用性を評価することを目的とした。流れ加速型腐食を模擬した試験体肉厚を超音波試験により測定し、結果を統計的に評価した。その後、減肉量をその不確かさとともに予測する数値モデルを開発した。数値評価の結果、本モデルを用いることにより、減肉を定量的に把握したうえで、検査対象配管系統や検査時期を決定できることを実証した。
本国際会議では様々な立場の非破壊検査関係者が出席していたため、それぞれの立場からの発表や議論の仕方が非常に興味深かった。特に企業側は実用的な研究を求めている方が多く、それに関連した議論は非常に充実したものとなった。
国際交流という面では会話や食事、普段の生活を通して非常に多くのものを得ることができた。その中でも国際会議内で行われる議論は非常にレベルの高いものが多く、専門的な事を英語で話すことの難しさを痛感した。自分の現状の英語レベルに留まらず、より高いレベルでコミュニケーションがとれるよう精進したい。
最後になりますが、本会議への参加に際して、貴財団からの多大なるご支援に心より感謝申し上げます。