International Conference on Crystal Growth and Epitaxy (ICCGE-20) は、結晶成長の最新の理論と実践、最先端の科学技術を世界各地から研究者が集まって発表する会議である。1996年にアメリカのマサチューセッツ州ボストンで開催されたICCGE-1からほぼ3年に1回開催されている。今年は7月30日から8月4日にかけてイタリアのナポリで開催された。本会議では結晶成長に焦点を当て、ナノ結晶や2次元材料、バルク結晶成長、薄膜エピタキシャル成長等の様々な19の分野に分かれて発表及び議論を行った。
申請者は、“Growth of GaInN/GaInN MQWs on nanocolumns with thick GaInN buffer layer using RF-MBE”という題目でポスター発表を行った。
GaInN (窒化ガリウムインジウム混晶) は、In組成の変化によって可視光全域を表すことができる材料である。しかしながら、In組成が増加し赤色域になるにつれて発光効率の低下が課題となっている。そこでナノコラムという柱状結晶を用いることでその課題の解決することが期待されている。申請者はナノコラムという構造の効果に着目して、組成比の違うGaInNを段階的に格子緩和させることで高効率赤色発光を目指している。本会議ではその研究状況の近況について報告を行った。
本研究の最大の成果は、緩和層であるGaInNバッファ層をV-III族比を制御することによってナノコラムのトップ形状の制御が可能となった点である。これによって均一なコラムトップを得ることができ、デバイス作製において必須といえるp-n接合のp層の成長が簡単になること、また電流注入の際のナノコラムの不均一さによるリークが原因の発光効率の低下を防ぐことができる。
私は海外に行くこと自体が初めてであり、また英語も堪能とはいえないためかなりの不安があった。しかし、せっかく貴重な機会を与えていただいたので、拙い英語でも積極的に質疑応答に取り組んだ。多くの方が、英語をあまり聞き取れない私に対してゆっくりと丁寧に対応してくれたため、多くの貴重な意見をいただくことができた。このような経験は国内学会では得がたく、海外での会議ならではの経験だと考える。
最後に、本会議への参加に当たってご支援いただいた貴財団に心より感謝申し上げます。