Micro and Nanotechnology for Power Generation and Energy Conversion Applications (PowerMEMS) は発電やエネルギー変換、充電アプリケーション等に関連するマイクロ/ナノ技術の革新を促進する目的で開催される会議で、2022年度は3年ぶりとなる現地開催でした。100人程度が参加し、プレナリーセッション、オーラルセッション、ポスターセッション、ライブデモンストレーション、オンラインプレゼンテーションの組み合わせにより、活発な議論が行われました。また夕食会などのイベントもあり、海外の研究者と盛んに交流できました。
本会議では、片持ちはり構造エナジーハーベスタの厚み制御による高出力化および高強度化という内容で、ポスター形式にてプレゼンテーションを行いました。
振動によって発電する片持ちはり構造の圧電エナジーハーベスタは、構造がシンプルでMEMS (Micro Electro Mechanical System) プロセスと相性が良く、小型化が容易なため、さまざまな振動環境下での応用が期待されており、これまでも様々な研究が行われてきました。
しかし従来のハーベスタには、はり根元や先端での応力集中によってはり破壊強度が著しく低下すること、および圧電膜に発生する応力が不均一で、圧電膜の発電利用効率が低いことが問題点として挙げられます。我々は片持ちはりの厚みを自由にコントロールする3次元加工技術によって、応力集中を緩和するフィレット構造や、応力均一化のためにはり固定端からマス側に向かってはり厚みを薄くする(厚みテーパ)構造の作製に成功しました。その結果、破壊強度や発電電力の向上を実証しました。
本発表では国内や海外の研究者、合わせて十数人から質問やアドバイスをいただき、大変勉強になりました。特に大きな高低差を有する3次元構造の製造工程についての質問が多く、レシピ開発のヒントを得ることができました。
現地開催の国際会議に出席するのは初めての経験で、自分の発表を終えるまでは緊張していました。語学力もまだまだ未熟で、発表中うまく聞き取れなかったり、伝えたいことが伝わらないということもありました。しかし質問してくださった方々がゆっくり話す・私の発言を繰り返して確認するなどの工夫をしてくださり、何とか質問に対して回答することができました。その後、少しずつ英語での対話に慣れてゆき、「より平滑な3次元構造を得るためにはどのようなプロセス開発が必要か」などのより深い議論も行いました。
一方で、「マイクロローディング効果とは何か」という質問もありましたが、こういった基礎的な質問に対する答えを用意しておらず、説明に困る場面もありました。言語のみで説明する事が難しい場合に備えて、ノートやタブレットも活用して伝えると良かったかと思います。
失敗や反省点なども多々ありましたが、学びが多く大変有意義な時間を過ごすことができました。今後も機会があれば是非国際会議に参加したいと思います。
ご支援を賜りました一般財団法人丸文財団の皆様に心より感謝いたします。