IEEE Photovoltaic Specialists Conference (PVSC) は太陽光発電の基礎科学から商業応用、さらには普及、政策、資源に至るまで、あらゆる分野に焦点を当てた、60年という長い歴史のある権威的な国際会議である。今年はアメリカのフィラデルフィアで2022年の6月5日から10日の計6日間行われた。世界各国から研究者が集まり、連日の口頭発表や講演、ポスター発表を通して活発な討論や技術交流が行われた。
講演タイトル
『Investigation of CsF-Treatment Effects on Cu(In, Ga)(S, Se)2 Solar Cells using Photothermal Atomic Force Microscopy under Various Photoexcitation Conditions』(口頭発表)
内容
薄膜型太陽電池CIGSは、薄膜という特性を生かしたフレキシブルな太陽電池などが現在研究されており、メガソーラーだけではなく電気自動車や建造物などへの組み込み用途向けとしても期待されている。最近ではCIGSにCsFを用いた処理を施すことで変換効率が向上することが報告され、最高変換効率23.35%を達成した。さらなる変換効率上昇に向けてこのメカニズムを明らかにするために、我々は太陽電池の効率低下の要因である非発光再結合を高分解能で観測することができる光熱モード原子間力顕微鏡 (PT-AFM) を用いて研究を行った。その結果、CsF処理を行うことで、CIGS結晶内部の結晶粒界やCdS/CIGS界面での非発光再結合中心が不活性化されていることが分かった。
本会議への参加は、コロナ自粛が緩和され久しぶりの現地での発表でとても緊張しましたが、自身にとっていい刺激になったと感じています。実際に現地に行き様々な研究者と顔を合わせて議論することで、オンラインよりもより活発に議論することができました。また、発表の際も聴衆の表情をうかがいながら発表を行えるので、より効果的な発表をすることができたのではないかと思います。発表後は自身の発表についていくつか質問をいただきそれについて議論をすることで自身の研究をより深めるきっかけをいただけました。
今回、本会議の参加のために多大な援助をしてくださった丸文財団様には心より感謝いたします。