2023 IEEE/SICE International Symposium on System Integrations (SII2023)は、システムインテグレーションに関する最先端の技術と将来の展望を提示することを目的とした国際会議で、産業界の専門家、研究者、学術関係者が、先端技術、画期的で革新的なソリューションやアプリケーションに関するアイデアを共有しています。今回は15回目の開催で、開催地はアメリカ合衆国ジョージア州アトランタのジョージア工科大学でした。また、新型コロナウイルスやその他の環境問題への懸念からオンラインからの参加も受け入れるハイブリッドイベントとして開催されました。
本会議のトピックとしてはSystem integration、Cyber physical systems、Human and society、Healthcare and assistive technologiesが含まれる広い領域でした。それらに関する113件のcontributed paper、64件のSpecial session paper、1件のVideo presentation、9件のLate breaking reportの発表が行われ、3大陸20カ国から参加した著者や発表者と参加者によって国際的で活発な議論が展開されました。
次回のSII2024(2024年1月8日~11日)はベトナムのハロンでの開催が予定されています。
本会議では、“Markerless 3D Pose Estimation System for Mouse Musculoskeletal Model Using DeepLabCut and Multiple RGB-D Cameras”というタイトルで発表を行いました。
マウスを用いた動物実験は、基礎研究のみならず新薬開発などの応用研究においても重要な役割を担っています。しかし、動物実験における評価は観察者の目視で行われることが多く、主観的な評価や人為的なミスが問題になっています。これらの問題を解決するために、客観的かつ自動的なマウス解析システムが必要とされています。近年、いくつかの解析システムが開発されていますが、評価が詳細でないことやマウスの体にマーカーを添付することによる行動への影響などの問題がありました。
そこで本研究では,マーカーを使用しないマウスの詳細な行動解析システムを提案しました。私たちは色画像と距離画像を取得できるRGB-Dカメラ6台を、マウスを囲むように配置した専用の測定装置を作成し、深層学習に基づく特徴点トラッキングを用いて、事前に設定したマウスのキーポイント20点を追跡することで、各キーポイントにおける平均誤差5~10mmの精度でのマウスの3次元姿勢の推定を実現しました。
討論内容としては、深度情報を使用することの利点についての質問をいただき、議論を行いました。また発表時間終了後にも議論をする機会をいただき、今後の研究の発展に繋がりうる深い知見を得ることができました。
本会議は4日間でオーラルセッションやポスターセッション、ワークショップなどが行われ、私は3日目のオーラルセッションで発表を行いました。私は対面での国際会議への参加は初めての経験でしたが、自身の発表においてはもちろんのこと、聴講した様々なセッションにおける活発な意見交換に多くの刺激を受けました。その中で、自身の英語力や伝える力の向上の必要性を強く感じました。セッション間のCoffee breakやDinnerなどの参加者間の交流を促すイベントが多く企画されており、積極的に参加し多くの学生や先生方と交流を深めることができました。
また、本会議ではBest Paper AwardとBest Student Paper Awardのほかに、若手研究者に学術研究を奨励し、国際的な活動を支援することを目的としたSICE International Young Authors Award (SIYA)の発表がありました。私はこのSIYAの受賞者の一人として選出されることができました。
最後に、この度の学会参加にあたり多大なご支援を賜りました一般財団法人丸文財団に心より感謝申し上げます。