■ 開催地:Paris、France
言わずと知れた都市。エッフェル塔、ルーブル美術館、セーヌ川、カタコンベ、凱旋門などがある。個人的な穴場としてのオススメはMusée des Arts et Métiers(パリ工芸博物館)であり、質量保存の法則を明らかにしたラボアジエの研究室や、地球の自転を間接的に証明したフーコー振り子など、科学好きを引き付ける展示がある。
■ 会議概要:
International Astronautical Congress (IAC) は世界中の宇宙関連の産業界、学術界、政府機関からあらゆる分野の人々が参加する学会イベントである。合計5日間によって行われ、テクニカルセッション、プレナリーレクチャーなどがあり、またエキシビジョンには250以上の展示ブースが設置される。パリで開催された今年のIACは史上最大で、130カ国以上の国から8,800人が参加、合計3,000以上のテクニカルプレゼンテーション、プレナリーレクチャーが7つ行われた。ネットワーキングの機会も充実しており、研究者、ビジネスパーソン、学生が専門分野に関係なく誰とでも簡単に知り合いになれるという特色がある。
■ 次回開催日時場所:
2 - 6 Oct. 2023, Baku, Azerbaijan
■ 発表タイトル:Data-driven FDI Focusing on the Attitude Dynamics of Spacecraft
Fault Detection and Isolation (FDI) は日本語では故障検知と分離、もしくは故障診断と訳される。FDIとは、システムの異常や故障をいち早く検知し、原因を分離し特定する目的をもつサブシステムである。従来のdata-driven FDIではデータ、ストレージ、計算能力にかぎりのある場面、とくに小型宇宙機への応用では、故障の見逃しや誤検知といった課題がある。一方で他の従来手法であるmodel-based FDIでは観測値を既知の第一原理から予測し、実際の観測値と比較することで故障検知と分離を行う。過去の研究から、宇宙機サブシステムの故障のうち3分の1をAttitude Orbit Control System (AOCS)が占めることが示されている。この研究では、宇宙機の姿勢ダイナミクスを、model-based FDIの重要な特徴であるモデルとし、data-driven FDIに組み入れる手法を提案する。ここでDeep Learningをdata-driven FDIの実装手段に採用する。従来手法では観測値を直接学習させるが、提案手法では残差というモデル予測値を観測値から差し引いた値を学習させることで、従来手法の上記課題に取り組む。発表では提案手法が従来手法に比べて、故障判断の性能を一部上回ることを示した。
■ 討論内容
質疑応答の時間では、なぜ性能が上回る部分とそうでない部分があるか、またどうすれば改善されるか、という質問をいただいた。 これに対して、該当部分についてそれぞれのデータの特徴の違いを述べ、自分の現状分析とともに、今後さらなる検討が必要がある旨を説明した。
少なくとも20人以上の宇宙関連の新しい友達、知り合いができた。また、星出彰彦さん、野口聡一さんなど日本、NASAやESAの現役/元宇宙飛行士も参加しており、数名の方とお話しすることもできた。最大級の国際学会ならではの出会いや、国際交流ができ、また多国籍の学生や若手プロフェッショナルで構成される宇宙コミュニティがあるという情報、さらにそこの雰囲気を感じることができた。例えば、International Space University (ISU) という宇宙専門に幅広い分野を学べる大学の学生や教授とも知り合いなることができたうえ、Space Generation Advisory Council (SGAC) という若手教育機関についても親しくなることができた。
加えて、以前から興味があり個人的に勉強する程度であった分野、例えばAIを利用した宇宙機の制御理論、AIの宇宙業界への活用、Blockchainを利用した民主的な(分散的な)Space Economy、微小重力下でのBiology またはBioengineeringなどで実際に活動をしている、もしくは専門としている方々にもお会いし話を聞くことができたのは、知見を拡げる上でとても有意義であった。
多大なご支援を賜り誠にありがとうございました。