41st the International Congress on Applications of Lasers & Electro-Optics (ICALEO2022) は、Laser Institute of America (LIA)が主催する国際会議である。ICALEOは1981年に第1回会議が開催され、レーザ加工の基礎と応用を取り扱う国際会議である。10月に米国で年に一度開催されており、41回目を迎えた今年はフロリダ州オーランドのローゼンセンターホテルで開催された。レーザメーカ、光学メーカ、研究機関、学協会などの22団体が出展する展示会が併せて開催された。ICALEO2022は「レーザマクロ加工会議 (Macro)」「レーザミクロ加工会議 (Micro)」「レーザアディテブマニュファクチャリング会議 (LAM)」「レーザ応用の最前線に関する会議 (FLA)」の4つのテーマに分かれて、パラレルセッションで会議が進行した。オーラル講演数はMacroが32件、Microが32件、LAMが28件、FLAが14件、基調講演が3件の計116件であった。ポスター講演は1日目の夕刻に開催され、著者はそこで成果発表を行った。次回ICALEOはイリノイ州シカゴで開催予定である。
著者は「High speed coating for copper by multi-beam LMD method with high intensity blue diode lasers」と題してポスター発表を行い、併せて5分間のショートプレゼンテーションを行った。銅は、抗菌性やウイルス不活化などの優れた特性を有することから、感染症予防のために、手すりやドアノブなどの不特定多数の人が触れる部分への応用が期待されている。しかし、銅の強度はステンレス鋼の約40%と低い。強度を保ったまま、ウイルス不活化等の新たな機能を表面に付加するためには、表面にコーティングする技術が必要となる。そこで、レーザ金属堆積法 (LMD) に着目した。従来のLMDシステムでは加工速度は10mm/sにとどまっていた。本研究では、出力200Wの高輝度青色半導体レーザを新たに搭載したマルチビーム型LMDシステムを開発した。その結果、レーザパワー密度は従来の20倍の7.6×105 W/cm2に達し、従来の40倍の400mm/sの加工速度でコーティングできたことを発表した。多くの参加者の前で発表を行い、様々な観点で意見を交換した。
私は海外で開催されたオンサイトの国際会議に初めて出席することができた。自身の成果発表後、本会議を聴講した。中でもLAM会議の人工歯のアディテブマニュファクチャリング (AM) に関する発表に興味を持った。Ti系合金におけるMoの含有量によって相変態を起こし、ヤング率や硬度を制御するという革新的な内容であり、レーザプロセスと材料工学を融合する新しいものづくりに大変感銘を受けた。自身の研究においてもレーザプロセスだけでなく材料工学などの幅広い知見が必要であると考えさせられた。また、併せて早朝に開催されたLIAランニングクラブに参加し、世界各国の参加者とランニングをすることで積極的なコミュニケーションを通して楽しいひと時を過ごした。
ポスター発表では特に英語のリスニング能力不足を痛感させられた。スピーキングは相手が自分の研究に興味を持っているならば稚拙な英語でも理解しようと努めてくれるが、リスニングできなければそもそも相手の質問の意図がわからないので議論ができない。実際に、相手の質問の意図がわからず何度も聞き返す場面があり、議論を深めて、自身の研究をより深化させていくためには英語のリスニング力の向上が不可欠であると感じた。この反省を生かして、英語力のさらなる向上に努めたい。本会議に出席した経験は研究における多角的視点と英語力の重要性を認識する貴重な経験となった。
最後に、この度の国際会議の出席にあたり、貴財団よりご援助を賜りましたこと心より御礼申し上げます。